メーカーが体組成計の精度をアピールしない理由

正確な体脂肪率を量るためには、病院や大学機関にある1台で数千万円もするような機械を使う必要があります。これは私の勝手な想像ですが、本当に体組成計の精度が高いのであれば、売っている会社は自信を持って「○%の精度です!」ってセールストークに入れてくるはずですよね。実際に数字で精度を示していないのを見ると、「触れてほしくないところなのかなあ」と思ったりしています。

家庭用体組成計は、身体に電流を流して、その速度を基にその人の年齢、性別、運動量、体重など統計データを参考にして、体脂肪率を「推測」しています。5%の誤差があるとはいえど、科学的データを使っており、適当な数字を出しているわけではありません。

そのため、参考にすること自体は悪いことではありませんが、この誤差のことを知らずに数値を鵜呑みにしていると「昨日は25%だったのに、今日は27%に増えてしまった……」と、2%の脂肪増加にガッカリしてしまいます。ちなみに生物として、1日にこんなに増減することはあり得ません。短期間で起こる上がり下がりをあまり真に受けすぎないようにしましょう。

しょっちゅう体重を量るのと同じで、毎日のように体脂肪を量ることは精神的にもよくありません。気になって毎日量ってしまうような人は、家に家庭用体組成計を置かないほうがいいかもしれません。

疑問視されている世界の「BMI」基準

医療現場やダイエットで頻繁に使われるBMIですが、実はこの基準を疑問視する声も現場から上がっています。

BMIの基になった考え方は、1830年代にベルギーの数学者によって提唱されました。もともと、肥満度を見るために考案されたものではなく、医学的なルーツがありません。その時にデータを集めるために参考にされたのも、ヨーロッパの白人男性のみ。その100年以上後の1970年代に、アメリカの生理学と栄養学の専門家グループによって現在のBMIとして確立されましたが、この時も参考にされたのは健康的な男性でした。

つまり、現在の世界中の色々な人種の男女が、200年前の白人男性や50年前の健康的な男性をベースに考案された方法で肥満度を測定しているのです。

写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです