毎日、鏡の前に立つほうがずっといい
さらに、しょっちゅう体重を量ることで、自信の喪失と自分の身体の評価が落ちることが数々の研究で分かっています(※)。体重計に示された数字に一喜一憂して、その後にやけ食いや暴食に走ってしまうこともあります。
体重計の数字で目標を設定している限り定期的に体重を量ることになるため、仮に目標体重は達成できたとしても、明日は、明後日は、1カ月後は、そして1年後はと、ずっと気になるまま。その先の目的である「自信がつくこと」や「自分の身体をもっと好きになること」は遠のいてしまいます。これでは本末転倒です。
体重計に乗ってチェックし続けないと太ると思われがちなのですが、本当の問題は身体のことを気にする時間自体が少ないことにあります。体重計を使って進捗を確認するより、毎日同じ時間に鏡の前に立って自分の身体の見た目の変化を確認したり、自分の気持ちの変化を確認するほうが、ずっと「見た目を変える」「自信をつける」という目標にかなった方法でしょう。
数字で一喜一憂するくらいなら、体重計なんて捨ててしまったほうがいい。プロボクサーや体重制限のある乗馬騎手でない限り、数字で目標を設定しなければいけない理由はないのです。
※ Jackson, Sarah E., et al. “Perceived Weight Discrimination and Changes in Weight, Waist Circumference, and Weight Status.” Obesity, vol. 22, no. 12, Sept. 2014, p. n/a-n/a, https://doi.org/10.1002/oby.20891.
「体脂肪率」もあまりアテにならない
体重が示すのは「身体の重さ」だけであって、前日から1g増えたとしても、何が増えたかを示すものでもありません。1kg増えたら「脂肪が増えた」という勘違いをすることが多いのですが、脂肪が1日で1kg増えるというのは生理学的に不可能なこと。減る時も同様で、何が減ったかは体組成まで調べなければ分かりません。体重よりも体脂肪率を参考にするほうがよいでしょう。
とはいえ家庭用体組成計ですと、精度がまだそこまでではないようです。格安で手に入り家で気軽に体脂肪率を量れると人気になりましたが、その精度については話題になることはそんなにありません。実は±5%程度の誤差が出ることがあるといわれています。本当は25%の人でも、20%あるいは30%で表示されている可能性もあるということ。
1%の増減で悲鳴をあげるような私たちにとっては、この程度の精度ならば扱い方に気をつけなければなりません。入浴の前後で数%変わったり、汗をかいているだけでも数%の差が出ます。そのため、科学研究でも家庭用体組成計を使うことは推奨されていません。