体重計の数字は見た目を反映しない
体重計の数字を使ってダイエットの目標を設定するのはメジャーな方法で、トレーナーの教科書にも「数字を使って達成できたかどうかはっきり分かる目標を設定しましょう」と書いてありますし、ダイエットアプリでも体重を記録してグラフで見られるようになっています。
しかし、このSMARTゴールと呼ばれる方法は、ビジネスなどの場面で評価される目標設定の方法であり、これをダイエットで行なうとかえって混乱することになります。
その理由は、体重計の数字はその人の見た目を反映しないからです。力士とラグビー選手を比較してみると、同じ100kgの体重だとしても体型がだいぶ異なりますよね。骨の太さ・密度、内臓の重さ、筋肉の量、脂肪の量、胃腸の中のものの量など、身体の内容物の構成(体組成)によって、同じ体重でも見た目の印象が変わるのです。
日々、変動する体重に翻弄されるだけ
筋肉は脂肪よりも重たいため、筋肉質な人は体重の割に締まって見える傾向があります。私自身も、見た目から予想される体重と実際の体重では+5~10kgほどの誤差がありますし、筋トレを始めて以来10kg増えても服のサイズはむしろ小さくなりました。見た目と体重は必ずしも一致しないのです。
また、体重は常に変動しており、朝起きてすぐ、トイレに行った後、ごはんを食べた後、夜寝る前など、1日の中だけでもけっこう変わり続けます。3食しっかり食べて水も1.5リットルくらい飲んでいれば、朝と夜で2kgほど変わっても珍しいことではありません。生理前後や断食だと、数日で3kgほど変動することもあります。
「体重」という1つの数字で表すものは、常にウロウロしている身体の重さのだいたいの値であって、本当は数kgの幅がある概念なのです。そのため、「見た目を変えたい」という目的でダイエットを始めたい人が体重計の数字を基準に進捗を確認していると、行ったり来たりする体重に翻弄されて、自分の進歩を正しく認識することができなくなってしまうのです。