悪循環を断ち切るには、口グセを変える

こうした悪循環を好転させようとストレス発散や切り替えのために、パーっと遊びに行ったり、グチを言いまくったりすれば、問題は解消するのでしょうか。

一時的にはいいかもしれませんが、根本的な解決にはなりません。そんなことよりも、お金も時間もかけないで解決する方法があります。それは自己肯定感を下げる要因の「口グセ」を、良いものに変えていくことです。

では、ふだんからどういう口グセをしていけば、自己肯定感は高まるのでしょうか。ビジネスパーソンにありがちな日常のシーンを描きながら、1日の流れを追って紹介していきたいと思います。

まず、朝です。起きて身支度をしながら「雨か……、会社行くの面倒だな」といった否定語を発したら、いきなり自己肯定感はダダ下がりします。「雨が降っているから、集中できそう」や「今日も充実させよう」とポジティブな口グセに変えるだけで、いい1日のスタートを切れます。

写真=iStock.com/Maria Marganingsih
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「なんで忙しいんだ」より「だからうまくいった」

日中、仕事をしている際も、例えば、「なんでこんなに忙しいんだ」と焦りをあらわにするよりも、「時間をかけたからこそ、うまくいった」と、言い方を変えてみる。否定的な言葉よりも、 NLP心理学(※)でいうところの「肯定的な意図」を探していきます。

※Neuro Linguistic Programming(神経言語プログラミング)の略称。別名「脳と心のマニュアル」とも呼ばれ、脳の仕組みを利用した心理学

これは「リフレーミング」と言って、物事や状況を別の視点から捉え直してみることです。その状況を活かすために、どのように肯定的な側面を見つけるか。

ここで大事なのは、「自分の評価」を入れないことで、アドラー心理学の「課題の分離」です。忙しいのは状況であって、自分がコントロールできる課題ではありません。それなら、そんな苦しい状況でも「自分は努力できている」「真剣に向き合った証拠だな」と、言葉を転換しましょう。

そうやって、よいことに向かう口グセを習慣化していけば、どんな出来事も仕事も、すぐにマインドセットできて効率が上がり、本来のパフォーマンスが発揮しやすくなります。