SNSで使われている「暗号」
性的情報の発信は暗号化されることが多く、立証は非常に困難だ。
たとえば、SNSを使用した売春では、次のような「暗号」が使われる。
「喝茶」(お茶を飲む)
「新茶已到」(新茶が入荷する)
「你今天来喝茶吗?」(今日お茶を飲みに来ますか)
「最近茶叶怎么样?」(近頃、お茶の味はいかがでしょうか)
……
これらの「お茶」はいずれも符丁で、女性を指す。
また、SNSは、通常では一生会えないかもしれない人たち、どこにいるかわからない人たちが集う交際の場としての特徴ももつ。
そのため、売春組織者と売春婦たちは、一度も面識のない「赤の他人」のような関係であることも多い。
その結果、売春婦が捕まっても、刑法上、より罪の重い組織運営者の居場所を突き止め、法で裁くことはほとんどできないのだ。
1日100件の売春が摘発された浙江省
2021年4月、浙江省政府はホームページで、2015~20年までの5年間に摘発された売春事件が18万2737件に上ったことを発表した。1日100件の売春が摘発された計算だ。水面下のものも含めれば、実際の売春行為はその1000倍は発生しているのではないだろうか。
2023年3月28日付の「上海法治声音」(上海市政府系ネットニュース)によれば、2022年に警察が全国で摘発した売春と賭博の治安事件は、40万件あまりにのぼっているという。
日本では売春を犯罪事件とするが、中国では売春(組織者を除く)が刑事犯罪にならず、治安条例違反の不法行為と見なされる。賭博については少人数で金額が小規模ならば、同じく刑事犯罪にならず、治安条例違反の不法行為と見なされる。
前述の検挙数で、売春と賭博が半々だとすると、売春は毎日548件摘発されていることになる。
ただし、日頃、警察が発表している摘発事件はほとんどが売春事件で、小規模の賭博事件にふれることは稀である。実際には、売春の摘発件数は賭博を大きく超えているはずであるから、2倍だとすると、売春が毎日1000件あまりも発生している。そして、摘発されない地下売春事件の数は計り知れない。
驚くことに、ゼロコロナ政策の終了宣言が行われたのが2022年12月である。ということは、ロックダウンの時期に、これだけの売春が行われていたということだ。