中国セックス産業の「王城」と呼ばれた町の現在

中国色街のナンバーワンといえば、広東省東莞市だった。かつて中国セックス産業の「王城」とも呼ばれていた。

40年前は小さな田舎の町だったが、改革開放により1990年代から外国企業が進出し、のちに1000万人の人口をもつ世界の加工工場となった。

面積はほぼ東京都と同じであるが、世界の洋服と靴の10分の1、パソコンの5分の1、子供の玩具の3分の1はここから出荷されている。

世界の有名メーカーの工場が東莞に林立しており、多くの日系企業もこの地に工場を建てた。

2000年代頃まで、東莞の経済は毎年20%以上という驚異の成長率で発展していた。市民の暮らしは非常に豊かになり、衣食住や娯楽、遊びなど、欲しいものがあれば、何でも手に入れて満足できるようになっていた。

東莞、広東省、中国
写真=iStock.com/david eric
広東省東莞市は中国セックス産業の「王城」とも呼ばれていた(※写真はイメージです)

10万人の娼婦が全国各地から集まった

セックスライフの変化はそのなかの一つだった。

経済発展にともない、多くの出稼ぎ労働者が東莞市にやってきた。同時に、10万人といわれる娼婦が全国各地からこの地に集まった。100人に1人という割合だから多すぎる。性産業が繁栄し、東莞市は「性都」とも呼ばれるようになった。

一方、経済発展著しい都会では、間違いなく「欲」「金」「色」(色とは性のことであるが、売春ではない)が隅々にまで充満する。この条件と環境に恵まれなければ、投資家も労働者も集まらないだろう。