日々の日常から「めざめる」

そこから2年後、2016年7月に革命的なARゲームとなってアプリ業界に旋風巻き起こす結果となったのは冒頭で述べた通りである。

写真=時事通信フォト
宮城県石巻市で2016年11月11日、「ポケモンGO(ゴー)」のレアポケモンが出現した。公式ツイッターは、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島各県の沿岸部で「ラプラス」の出現率が上がっていると告知。雨の中、スマホを手にラプラスを探し求める人が相次いだ。

Niantic社は2015年まで100万ドル規模の売上高の会社だったにもかかわらず、2016年以降は5億~10億ドル規模の売り上げを維持し、世界で2番目の潜在市場規模を誇る世界有数のゲーム会社となった。

出典=AppMagic

その後も精力的にARゲームを展開し、2019年4月『Harry Potter』、2021年10月『Pikmin Bloom』、2022年7月『NBA All-World』といくつかはサービス終了という事例もあるが、直近2023年8月『Monster Hunter Now』が1500万ダウンロードと新たな成作も生まれている。

ハンケは言う。人間は習慣の動物である。ただその習慣を破ることが仏教用語でいうところの「めざめる」ことになる。

日常生活の移動が必ずしも「意志」に基づくものでなくひたすら習慣のなかで同じ行動を繰り返すなかで、こうした「めざめる」きっかけをゲームの力で与えていくこと。

その哲学こそが2000万人に届いたイングレス、10億人に届いたグーグルマップとポケモンGOを貫くものなのだ。

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