資金700万円+工事を手伝ってついにオープン

開業資金は700万円。テナントは居抜きだったが、厨房機器やエアコンはすべて入れ替えた。かつてお世話になった業者に工事をお願いし、自分たちも積極的に工事に参加することで出費を最小限に抑えながら快適なお店を作ることができた。

今年1月22日のオープン初日は、ぼちぼちの客入りだった。地元の方は年齢層が高めでなかなか来てくれなかったが、告知を見てラーメンファンが集まってきた。

2日目から行列が出来始め、ラーメン評論家の大崎さんが再び記事を書いてくれたことで客足が伸びていった。

日曜日は10時50分の時点で60食が完売。翌週から整理券制を導入するほどの人気となった。

看板メニューは「もちもち雲呑中華そば」。煮干しのダシ感があふれるスープで、かつ上品に仕上がっている。チリっとした食感の全粒粉入りの麺がいい主張をしていて、岩手県産のもち小麦粉「もち姫」を使ったモチモチのワンタンは唯一無二の美味しさだ。

「『もち姫』100%で作ったワンタンはうちの特徴です。

もともと試作で手もみ麺を作ろうと思って買ってあった『もち姫』を捨てるのがもったいないと思ってワンタンにしてみたのがきっかけです。製麺機だと上手くいかないので小さなパスタマシンで一個ずつ作っています」(利幸さん)

奈津子さんが見てきた「夫婦経営の店」の共通点

奈津子さんにとっては初めてのラーメン店である。お店のオペレーションや雰囲気づくりを学びに、夫婦で営むラーメン店を中心に食べ歩きをして研究を重ねた。

「普段の声かけや、ご飯ものを提供するタイミング、席案内の順番など細かなオペレーションを勉強させていただいています。お店の空気感が何より大事ですよね。家族経営独特のあたたかみというか。5年間の食べ歩きでそれぞれのお店の接客を見て、課題になりそうなところを目で見て学んできました。

ガイド時代の経験があるので人前に出る度胸だけはありました(笑)。彼が自由にのびのびやらせてくれているおかげで上手くいっているんだと思います」(奈津子さん)

奈津子さんは、自分はお客さんが美味しく食べられる環境を整える係だという。とにかくおもてなしの精神で、奈津子さんの接客はお店の「顔」になっている。

ホール業務を担う奈津子さん。ガイド時代のおもてなし精神が現在の接客に生かされていると話す。夫婦で営むラーメン屋の良いところは「家族経営独特のあたたかみ」だとか