すごい先生がいたんです

久坂千明さん(宮古高校2年生)。

久坂千明(ひささか・ちあき)さんは岩手県立宮古高等学校(理系クラス)2年生。お父さんは宮古市役所で土木関係の仕事をしている。「震災当時は水道担当だったんですよ。震災の時も現場にいたんで、連絡つかなくて。何日か後に、目をすごい血走らせて帰ってきた」。

久坂さんは最後に登場する赤沼涼香さんと同じ放送部に所属しており、ふたりは良き相棒だ。現時点での久坂さんの将来の志望は2つある。

「教師になりたいと思っていますけど、放送部で番組作ったりしてるんで、最近は放送部で学んだことを活かせるような、番組をつくるディレクターみたいな仕事にたずさわってみたいとも思ってます。以前、放送部の活動で、テレビ局のディレクターさんの講習を受けまして、番組作りの基本を教わり、実際にその方がつくられた番組を見ました。そのとき、こういうふうに自分で何か伝えたいことを発信していくのもいいなあと思いました」

教師は、小学校、中学校、高校とありますけれど。

「中学か高校ですね。部活の顧問とかやってみたいんです」

相棒の赤沼さんが聞く。「放送部の顧問ってこと?」。久坂さんが「まぁね」と答える。「放送部なかったら、運動部に回されるじゃん」と佐々木くるみさん。「そうなんだよね、そうなんだよね。それ、どうしよう」「大変だ」「どうしよう? 初心者ですよ」。

ええとお話し中すみません、久坂さん、中学校や高校だと、先生が科目を持ちますよね。

「数学ですかね。今、数学習ってる先生が、すごいうまいんで。教師になるには教員免状が必要ですので、教育学部が当たり前のコースかと思うんですけど、でも、うちの宮古高校は、他の学部に行って教員免状を取った理科の先生とか、教員免状を取ってからIT企業に就職して、辞めて、高校教師になったっていう先生もいるんです。そういういろんな体験をして、人ともコミュニケーション取れてる人のほうがいいのかなって思いますし。英語の先生も教育学部出身ではないですし。もしもこの先、専門にする教科とかをちゃんと理解して教えていきたいという思いがあったら、そっちの学部に進んでもいいのかなと思って」

こう言うと先生には悪いけれど、「サンプル」が身の周りにいるわけですね。

「そうです。就職することで、いろんな体験とか増えますし。最近、岩手県というか東北は、教職がすごい就職難というか、倍率厳しいんですよ。その中で教員採用試験に一発で受かるっていうのはすごいことなんですけど、中学の時に、一発で受かって、もうその年からすぐ採用っていう、すごい先生がいたんです。その先生も教育学部ではなかったんです」

しかし、そうすると、久坂さんはどういう学校のどんな学部に行けばいいのでしょうか。

「うーん……、そうなんですよ……」

(明日に続く)

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