叩かれるよりも、ママから嫌われるほうが辛い

STEP4:子どもの感情の特徴をとらえて言語化する

ここまでのステップ1、2、3をふまえて、次のように言ってみましょう。

「いまの言葉は、よくない言葉よ。あなたはおもしろがって言っているのだと思うけど、言われてイヤな気持ちになる人もいるわ」

これが次のステップ4で、「感情の特徴をとらえて言語化する」です。子どもは、決してママのことが嫌いで悪い言葉を使っているわけではありません。だとしても、「それはママに対して嫌いだと言っているのと同じことだ」と伝えてあげるのです。さらに、次のように続けます。

「ママは、そんな言葉を言われて、とってもイヤな気持ちになったわ。あなたのことが嫌いになるくらい。ママは、あなたのこと嫌いになってもいいの?」

こう言われると、子どもの顔つきがだんだん曇り、「ダメー」と言うはずです。叩かれるよりもつねられるよりも、ママから嫌われるほうが、子どもにとってはよほどつらいことなのです。

STEP5:解決策を提示する

最後のステップは「解決策の提示」です。先の会話に続けて、次のように伝えましょう。

「じゃあ、もう二度と絶対に悪い言葉は言わないでね」

こうして、「悪い言葉は言ってはいけない」ということを教えてあげるのです。すると子どもは、「うん、わかった」と、素直に理解してくれるでしょう。

「人はみな愛し愛されるべき」という人間観を伝える

子どもに対して力ずくで言うことを聞かせようとすれば、子どもは痛みに耐えられないので、しぶしぶ言うことを聞くでしょう。しかし同時に、自分を痛めつける親のことが大嫌いになります。そこに厳しさはあっても愛情はなく、いつしか言うことを聞かなくなってしまいます。

さらに、体罰を与えられたり抑圧されたりしてきた子どもは、親よりも体が大きくなったときに復讐に出ます。つまり、親に対して暴力を振るうようになるのです。そうなっては最悪ですから、子どもの悪い態度を変えさせたいなら、子どもの気持ちから変えることが大切です。

ステップ4で、「その言葉を言われたら嫌な気持ちになる」と伝えることは、「そうであってはいけない」と伝えるということです。つまり、「悪い言葉を使うとママは嫌な気分になる」→「ママのことを愛していないと感じる」→「ママも子どもを愛せなくなるけど、それではいけない」、ということを順序立てて伝え、最終的には「互いに愛することが大切だ」という価値観を、対話を通して伝えていくわけです。これはすなわち、「人はみな、愛し愛されるべき対象である」という人間観を伝えているといえるでしょう。

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「クソババァ」と言われ、目くじらを立てて怒り狂い、「何てことを言うの、この子は!」などと逆ギレしてしまうと、親自ら「人間はみな、不平等に侮蔑を受ける対象である」ということを体現していることになります。同時に、子どもにそう学ばせてしまっている、ということでもあります。