注文住宅の契約と不動産の売買契約は違う

注文住宅の契約はいわゆる工事請負契約にあたるわけですが、不動産の売買契約と同じように捉えている人が多いのです。

例えば、不動産の売買契約では契約時に払ったお金を「手付金」と称し、この手付金を放棄すれば契約は解約できるという解約手付となっています。

ところが、工事請負契約では手付金という表現は少なく、単なる「契約金」と称しており、注文者から契約を解約する場合には、解約の時点でそれまでにかかった費用を請負者に賠償することで解約はできます。

また、不動産の売買契約では宅地建物取引業法の縛りが厳しく、違約の場合は売買代金の2割を上限に「違約金」として請求できます。しかし、請負契約の場合では違約金の上限が定められておらず、あくまでも損害を賠償することで契約を解約できるものとしています。

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「違約金は契約金の1割程度」はおかしい

ある住宅メーカーの工事請負契約の約款には、注文者が請負契約を解約する場合には次のように書かれています。

「注文者は、工事が完成するまでには、必要に応じてこの契約を解除できるものとする。この場合注文者は、これによって生じる請負者の損害を賠償するものとする」

この約款内容は、「請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる」と明記している、民法第641条(注文者による契約の解除)に準じたものです。

したがって、「契約金額の1割ぐらいが違約金としてかかる」というのはおかしいのです。

例えば、上記の契約金額が4000万円の請負契約を解約する場合、工事着手前であれば、それまでにかかった費用を実質精算して解約となります。注文者は、敷地調査や地盤調査、詳細設計、確認申請などにかかった費用を請負者に払って解約することが可能なわけです。

また、工事着手後に解約をする場合は、基礎工事や上棟にかかった材料費用と工賃を支払うことになります。当然、このタイミングで解約とあれば、契約金額の2割以上が請求されてもおかしくないわけで、先ほどの「2割上限」という縛りでは請負者側には割が合わないのです。