容姿端麗、語学堪能ゆえの悩み

鼓動』によれば、小学2年生のときに家族旅行でアメリカ・ロサンゼルスを訪れた亮平。中学3年生でワシントン州へホームステイ(交換留学)、高校では自然豊かなオクラホマへ留学した経験がある。

また、高校時代にはドイツ語のスピーチコンテストで優勝したという。そのきっかけは本人いわく「冴羽獠的な動機」。アメリカ人の女性に恋をした、ドイツ人の女性に恋をした、というのだ。語学堪能になった礎にも冴羽獠を持ち出すあたり、パーフェクトである。

その後、東京外国語大学に現役合格。外国語学部欧米第一課程英語専攻、輝かしい学歴だが、デビュー間もない頃はその立ち位置に悩んだ時期もあるのではないだろうか(推測)。

東京外国語大学(写真=IchiroHayano/PD-self/Wikimedia Commons

童顔で小さめの登場人物が多い群像劇では、オトナ顔で背の高い役者は並びが確実に後ろである。主演が小さければ後ろに追いやられたり、目立たないよう画角から外されがちだ。

ただ、「メイちゃんの執事」(2009年・フジ)ではその大きさを活かし、「父性」という特色を醸し出していた。吉田里琴(現・吉川愛)が演じるIQの高いお嬢様の執事・大門の役だが、お嬢様を常に抱き上げ、献身的に尽くして守る。

執事交換の回では大人の女の色香に酔って鼻血を出すなどコミカルな面も見せたが、その姿はどこか『ターミネーター』のアーノルド・シュワルツェネガーと重なった(バズーカぶっぱなしたりしてたしね)。

いろいろな部分で「両刀使い」

まだ細身の頃は「エリートやセレブのいけすかない男」を演じていた記憶もある。谷原章介主演「探偵倶楽部」(2010年・フジ)では殺された被害者の息子役、森田芳光監督の遺作となった映画『僕達急行 A列車で行こう』(2012年)では松山ケンイチが勤める地所のエリート社員(タワマン建設を推進)役。いけすかない系も堂に入る印象もあるが、この才能はのちに存分に発揮されるので、後述する。

体は大きいが柔和な笑顔で人好きのする顔は、主人公の親友にふさわしい。「ヤンキー君とメガネちゃん」(2010年・TBS)では成宮寛貴のマブダチだが、進学校に進んだ成宮とは別の高校に進学した練馬役。情に厚くて気遣いもできる成熟した親友で、年の割に落ち着いたキャラクターが適役だった。なんかいいやつなのよ。

いいやつといえば、「泣いたらアカンで通天閣」(2013年・日テレ)ではラーメン屋の娘・センコ(木南晴夏)の幼馴染・カメヤ役。

大阪を出て10年、東京の銀行に勤務していたが、婚約していた女性部下が顧客情報を盗んだことが発覚。責任をとって地方に飛ばされたが、思うところあって大阪に帰郷した役どころだ。気取ったエリートかと思いきや、めっちゃいい人でね。

木南がごんたくれの父親(大杉漣)に尽くす姿を心配し、しかも大杉と血のつながりがないと知った木南をなぐさめ、不倫相手の子を宿した木南と結婚を決意するっつう「男の鑑」みたいな善人だった。エリート臭も機械油臭もイケるクチ。

そもそも兵庫県出身の関西人なので、いろいろな部分で両刀使いなのだが、なにか突破口を模索しているような時期も。そう、ただのいいやつでは役者魂が満足しなかったのではないだろうか。