結局、どんなエコカーを選べばいいのか

HV、PHEV、BEV、FCVとエコカーが乱立した現時点で、消費者は何を選択すればいいのだろうか。世間では「オートモーティブ・ソリューション・プロバイダー」と認知されているわたしはこう考える。

まずBEVを買うのであれば、わたしならば2025年にトヨタの電池工場が稼働するのを待つ。もっと言えば2027年以降に全固体電池が車に搭載されるまで待つ。それは全固体電池が搭載された車とそうでない車ではまったく違うからだ。全固体電池を搭載した車は充電速度が向上し、発火リスクが抑えられる。容量が大きくなるから航続距離も伸びる、とされている。

おせっかいだけれど、全固体電池の車がマーケットに登場するまではどんな車に乗ればいいのか?

わたし個人は残価が落ちない車を買う。例えばトヨタのランドクルーザー、アルファード、ヴェルファイア、そして、メルセデスベンツのGシリーズといった車だ。そうして、全固体電池の車が出たから買い替える。

前記のような人気車はコロナ禍と半導体不足の影響もあり、乗った後に売っても価格が下がらないようになった。買ったとたんに売り払っても儲けが出るケースもある。そして人気車の価格が落ちなくなった背景にはBEVの残価、つまり中古BEV車の価格が明確に定まっていないことがある。加えて、中古BEV車の電池を新品に取り換えるのにかかる費用が高額ということもある。

中古価格が落ちないエンジン車はまだまだ強い

今年の3月30日の日本経済新聞にはこんな記事が載っていた。

「脱炭素対応に伴う電気自動車(EV)シフトにブレーキがかかっている。原因は中古車・リース車市場にある。リセールバリュー(再販価値)が急落し、世界的に企業や消費者にEVを避ける動きが広がる。欧州では消費者が買い替えをためらい、ガソリン車の保有年数が延びている。(略)

価値の低下はEV全体で広くみられる。中古車検索サービスの米アイシーカーズが230万台超を調査した結果、23年10月の中古EVの平均価格は3万4994ドル(約520万円)と22年10月と比べ34%下がった。中古車全体は5%減の3万972ドルでEVの下落率の大きさは顕著だ」

この傾向は続く。BEVに比べると中古価格が落ちないエンジン車、HV車が人気という現象はBEVの中古価格が明確になるまではなくならないだろう。

つまり、ユーザーが今後、自動車に関するニュースで注目すべきは全固体電池の量産体制がいつできるか、残価が落ちない車とはどういったものか。賢いユーザーはこのふたつのことへの態度だと思われる。