相次ぐ社内の不正にどう対応するのか
本稿を書き上げたあと、トヨタ自動車、マツダ、ヤマハ発動機、ホンダ、スズキの5社で型式指定の認証「不正」が判明した。型式指定は車の量産に必要な国の認証で、全メーカー合わせて38種に上る。次いでトヨタは3日からカローラ フィールダー、カローラ アクシオ、ヤリスクロスの3車種について出荷、販売を停止した。
会長の豊田章男は3日の会見でこう語った。
「認証に関わるプロセスに必要なリードタイムが非常に長いことと、すべての工程を把握している人がいないということ。標準スケジュールがなく、現場に負担がかかっていると思う」
加えて話した内容は以下のようなことだ。
「正しい認証プロセスを踏まずに量産、販売してしまった。トヨタグループの責任者として、お客さま、クルマファン、すべてのステークホルダーの皆さまに心よりおわび申し上げます。本当に申し訳ございませんでした」
ここでいう「不正」の内容は認証試験よりも厳しい基準で試験を行ったというもの。車の安全性には問題はない。豊田章男は世間やマスコミではなく車に乗っているユーザーやファンの不安を払拭したかったのだろう。彼自身が記者会見に出てきて丁寧に説明した。
わたしは今年2月、彼にインタビューをした。豊田章男はダイハツ工業、豊田自動織機、日野自動車で見つかった認証不正問題について話をし、グループ会社の責任者として、認証工程にトヨタ生産方式を導入する、自主研(自主研究会)をやると言った。仕事の工程を明らかにし、カイゼンができる職場に変えていくと話していた。
営業利益が5兆円を突破しても、累計生産台数が3億台になっても、トヨタのやるべきことはまだまだ終わらない。