なお、PBRに相当する日経平均株価がどの程度か確認したい時には、以下の手順で調べることができます。
①まず日経平均株価のBPS(1株当たり純資産)を確認
②BPS=PBR1倍の状態のため、BPS×調べたいPBR=相当する日経平均株価
PBR1.1倍のケース……BPS 25000円×PBR1.1=日経平均株価27500円
PBR1.0倍のケース……BPS 25000円×PBR1.0=日経平均株価25000円
PBR0.9倍のケース……BPS 25000円×PBR0.9=日経平均株価22500円
PBR0.8倍のケース……BPS 25000円×PBR0.8=日経平均株価20000円
最優先は相場で生き残ること
PBRとそれに相当する日経平均株価の計算方法を理解したところで、具体的にどう対処するかを考えていきましょう。
どんな相場であっても継続的にコツコツと積み立てること、まずは生き残ること、これらが最優先事項となります。その上で、機動的な運用をおこなうためにどうすればいいのか。株価暴落時に、退場させられることなく投資機会を活かすための一案です。
暴落相場では、キャッシュが精神安定剤になってくれることは間違いありません。また、せっかく株価が安くなっても、手元に現金が残っていなければチャンスに投資ができなくなってしまいます。
したがって、投資にまわせる余剰資金を株価の下落レベルに合わせて分割して投資していくのが効果的と考えます。
そこで、積み立て用の資金を除いた残りの投資資金をPBRが一定割合下がる度に資金を投入するという手法をとります。仮に現在の日経平均株価が27500円、日経平均株価のBPSが25000円とすると、PBRは1.1倍となります。
下落レベルに合わせてコツコツ積み立てていく
これが、一定割合下がっていくたびに追加投資していきます。
仮に100万円の現金があるとすれば、以下のように資金を投入していきます。
PBR1.05倍(日経平均株価26250円)を初めて下回った時に10万円投資
PBR1.00倍(日経平均株価25000円)を初めて下回った時に10万円投資
PBR0.95倍(日経平均株価23750円)を初めて下回った時に10万円投資
PBR0.90倍(日経平均株価22500円)を初めて下回った時に10万円投資
PBR0.85倍(日経平均株価21250円)を初めて下回った時に10万円投資
PBR0.80倍(日経平均株価20000円)を初めて下回った時に10万円投資
そして、バッファーを持たせるためPBR0.75倍(日経平均株価18750円)を下回った時に10万円投資、と買い下がっていきます。この時点でもまだ30万円の余力を残しています。
このように事前に準備をしっかりとしておくことで、資金が枯渇することはなくなり、また、下落時の投資機会を逃すこともなく、そして、市場から退場させられることもありません。