22~2時の「ゴールデンタイム説」のウソ

――“ゴールデンタイム”についても驚きました。22時~深夜2時までの睡眠時は成長ホルモンが活発に出るといわれている、いわゆる“ゴールデンタイム”について、「実は違う」ということなのですが……。

【森戸】“ゴールデンタイム”は成人男性を対象に調査したもので、女性や子どもに関するものではないんですよ。成人女性は日中の覚醒しているあいだにも何度も成長ホルモンの分泌ピークがあります。それに、夜まとまった睡眠をとった場合も、分割してとった場合も含めて1日に分泌される成長ホルモンの量が一定であることがわかっています。

子どもの場合、産まれたころは3時間おきくらいに寝たり起きたりを繰り返します。それが段々まとまって寝るようになってくるんですけど、4カ月から6カ月くらいになると、睡眠時に成長ホルモンがたくさん出るようになります。それは寝るたびに出るんです。お昼寝でも出ます。

写真=iStock.com/skynesher
※写真はイメージです

成長ホルモンは入眠直後によく出ている

――「何時から何時に寝て……」というのは関係ないということですね。「何時間以上寝たほうが成長ホルモンは出やすい」といったことはあるのでしょうか? たとえば30分以上寝たら出始めるとか。

【森戸】睡眠に入った直後が一番出るとされています。

――えっそうなんですか。それは興味深い。

【森戸】あんまり長く寝るような寝溜めは意味がないというのはそういうことなんじゃないかなと思うんですけど。

――僕も22~2時のゴールデンタイムが万人に当てはまるものと思っていたので、森戸先生の書かれた「実は違う」というのを読んで衝撃を受けました。

【森戸】そうなんですよ。でもSNSで私がそういう内容を投稿するたびに「ゴールデンタイムはあるはずだ」という反応がくるんです。その趣旨の記事を書いた時も「いいや、そんなの信じない」と。「だって自分は、それを実践してお肌がツルツルになったもん」ということらしいのですが。

――一時期は女性誌などで結構紹介されていたので、広く信じられているのかもしれません。

【森戸】他の要因でうまくいく(肌がキレイになる)ケースもあるのでしょうが、「その時間に寝れば女性の肌がキレイになる」という研究ではないので、ちゃんと元を辿るなどの注意が必要です。