お金は体力と意欲があるうちに使い切ってしまったほうがいい
ビジネスの現場では、嫌でも付き合わざるをえない人がいます。しかし友だち関係や隣近所の付き合いでは、自分とのわがまま度があまりにも非対称である相手は、見切ってしまってかまいません。
少し難しいのが家族、特に親子の関係です。小さい子どもは大体わがままだし、親も年を重ねたら子どもに対してわがままになります。それは単純な貸し借りが通用しない、非対称の関係です。どこまで相手のわがままを受け入れるか、家族内である程度のルールを設けておいたほうがよいかもしれません。
趣味などでわがままに振る舞うには、お金の問題も絡んできます。私は、自分で稼いだ分は自分で使ってしまうと割り切ったほうがいいと考えています。「老後に2000万円は必要」という世論におびえて、買いたい物を買わず遊びに行きたいところへも行かず、せっせと貯金して老後に備える人もいるでしょう。しかし、年を取ってしまえば、いつの間にか体力がなくなり、行きたいところへも行けなくなります。
そのときお金があっても、使い道がないわけです。子どものために残そうなんて、言語道断。体力と意欲があるうちに使い切ってしまう気持ちでいたほうが、人生は楽しくなります。実際、使ったら使ってしまったでなんとかなるものです。
若いときは、我慢すれば未来があるかもしれないと思えます。けれども中年になったら未来は見えてくるし、いま好きなことをしておかなければ、いつ死ぬかもわかりません。なるべくわがままに生きていきたいものです。
※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年5月31日号)の一部を再編集したものです。