「毛沢東時代」に戻ろうとしている
【エミン】そして、このところ習近平国家主席がやっていることは実質上、“資本家潰し”としか思えないところがあります。
【大橋】そうなんですよ。やっぱり毛沢東時代に戻るんでしょう。御自分の写真を毛沢東と並べているわけでしょう。資本家が儲けるのは気に入らないということですよね。
【エミン】そうですよね。だから、そういう意味で中国はすでに経済的な鎖国に入っているのでしょう。なにしろ、英語を教育から外してしまったくらいですから。
【大橋】留学生を本国に呼び戻すような話も聞きます。
【エミン】これも毛沢東時代に似ていて、極端に外国の思想や文化は危険だ、毒だというような考えに染まっている。中国の書店では、習近平の本が常にベストセラーなんですよ。
共産党幹部も教育機関の人たちも習近平思想を学んで、なおかつ暗唱しないといけないので、みんなが競って買うんです。毛沢東時代には『毛主席語録』が9億部売れたという記録が残っているけれど、このぶんだと、習主席の本もそうなりかねません。
このままでは中国は空中分解してしまう
【大橋】学校教育のカリキュラムにも習近平思想が必修化されたと聞いていますし、完全な思想統一政策が進んでいるようです。
【エミン】そうした体制づくりは、当然ながら、経済にとっては“逆効果”になります。
けれども、習主席は国内景気の実態をよく知っているから、これぐらいやらないと、逆にもうこの国はもたないと判断をしている可能性さえある。
「景気の実態は悲惨だから、この国はこのままでは空中分解してしまう。中国共産党自体も、それに巻き込まれて空中分解しかねない。ならば、ここは鎖国して、得意のデジタル監視技術を駆使して、国民を押さえ込まねばならない」といったところなのでしょう。
その一環として、国民の幼年期から習近平思想を植え込んでいくという戦略が取られていると考えれば、妙に納得感が得られます。