川勝知事の難癖は静岡のメリットを引き出すため
「リニアは静岡県に何のメリットもない。デメリットだけである」「リニアと南アルプスならば南アルプスを取る」「370万人の県民に何のメリットもないリニア新幹線など静岡県には要らない」などなど、川勝知事は刺激的なことばを使い、論争を巻き起こすことで、JR東海に「誠意を見せろ」と迫った。
しかし、JR東海は聞く耳を持たず、川勝知事の要求を拒否し続けた。
そうなると、川勝知事は、長野県の松本空港を迂回する独自の「ルート変更」を求め、2023年12月からは品川―甲府、岐阜―名古屋の部分開業論を展開するなど次々と物議をかもす論争を生み出し、JR東海へ厳しい対応を続けた。
川勝知事が難癖や言い掛かりをつけたのは、JR東海の「誠意」、すなわち「静岡県のメリット」を引き出すことだった。
ところが、JR東海は「固い門扉」を閉め切ったまま、川勝知事の強い圧力が過ぎ去るのを耐え続けた。
川勝知事は「リニア問題にひと区切りがついた」として辞めてしまったが、実際にはJR東海から「静岡県のメリット」を引き出せなかったからである。
「大井川の水資源保全」「南アルプスの自然環境保全」とは、リニアトンネル工事による「静岡県のデメリット」への対応である。
だから、大村、鈴木の両氏が「リニア推進」と「大井川の水資源保全」「南アルプスの自然環境保全」の両立を図るのは当然と言えば当然のことである。
新知事の最大の役割は、「静岡県のメリット」をJR東海から引き出すことであり、それがリニア問題の解決につながる。
しかし、JR東海の「固い門扉」をこじ開けるのは、簡単なことではない。