「途中で守備についた選手に打球がよく飛ぶ」は迷信

どうして途中交代で入った野手のところに打球はよく飛ぶ?

野球の「これホンマなん?」シリーズは、ありがたいことに、ユーチューブチャンネルでも好評でした。みなさんが常識、当たり前と思っていることが、実は、現場感覚とは少しズレているときもあって、ぼくにも発見があったと思います。そのシリーズで取り上げたものの1つがこのテーマでした。

特に高校野球だと、実況のアナウンサーがよく使っている気がします。本当に、交代で入った選手のところに、打球はよく飛ぶのでしょうか。

ぼくの感覚だと、これは、ない。ありません。

試合の後半に守備固めで出場するケースがぼくにはよくありました。もし「途中交代で守備についた選手のところに打球がよく飛ぶ」が本当なら、何回も体験しているはずです。でも、ないんです。

守備固めは、リードした状況で試合に出ます。正直「ここに打って来たらあかんで~」と、思ってました。自分のエラーがきっかけで逆転でもされたら、査定は下がるし、ベンチでは針のムシロだし、考えただけでゾッとします。

来るな~と思っているから、もし交代して入って、すぐ打球が飛んで来るケースが多かったら、間違いなく、強く印象に残っているはず。それがないということは、打球は来ない。むしろ、飛んでこなくてホッとした記憶はたくさんあります。

アナウンサーの常套句

ではどうして、「途中交代で守備についた選手のところに打球が飛ぶ」と、まことしやかに語られるのでしょうか。あくまでも想像ですが、高校野球の実況で、アナウンサーが常套句的に使っているうちに、テレビを見る人、ラジオを聞く人のなかに刷り込まれたのではないでしょうか。

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特にラジオは映像がない分、実況はいろんな言葉を駆使して、リスナーに試合の様子をイメージしてもらうよう考えるはずです。プロ野球なら、野手の名前だけでポジションがほぼわかりますが、高校野球はそうではありません。例えば、ショートが佐藤君から今浪君に代わったとしましょう。ただ「今浪君、ゴロを捕ってファーストへ送球」だと、今浪君が誰なのか、わからない。そこで「交代でショートに入った今浪君」と、ちょっと説明をつけると、まだ汚れてないユニフォームでゴロをさばく姿が想像できます。

内野でも外野でも、たまたま交代で入った選手のところに打球が飛んだとき「交代で入った」を実況で強調して、それがずーっと続くうちに「交代で入った選手のところに打球は飛びやすい」と、定着していったのではないでしょうか。

ぼくの感覚では「ない」ですが、もしデータを細かく取ってみたら「あり」、ということもなくはないでしょう。そんなデータがあればめちゃくちゃおもしろい。どなたか、調べたら教えてください!(笑)