プロ野球選手の私服はダサいとよく言われる。実際はどうなのか。元プロ野球選手の今浪隆博さんは「練習をしていると身体が大きくなり、着られる服がなくなってくる。そこでファッションに関心を失ってしまうのだろう」という――。(第1回)

※今浪隆博『今浪隆博のスポーツメンタルTV THE BOOK 野球観戦が100倍面白くなる厳選100談義』(イースト・プレス)の一部を再編集したものです。

どうしてプロ野球選手は年々太るのか

個人的には「大きくなる」「厚みが増す」だと思っています。ぼくの場合、入団当初は身長171cm、体重71kg。11年後、最後のシーズンは身長172.5cm、体重は75kgでした。体重は4kg増えていますが、これは太ったのではなく、自分で意識して体脂肪率を高めた結果です。

では、なぜ体脂肪率を高めたのか。年間の公式戦が20数試合の大学野球に比べ、プロ野球のペナントレースは143試合もあります。月曜以外はほぼ試合があり、学生時代のフィジカルでは、とてもじゃないけどシーズンを通して持ちません。途中でガス欠を起こさないためにエネルギーを蓄える必要があり、そこで意識しなければいけないのが、エネルギー源となる脂肪です。

入団した頃、ぼくの体脂肪率は約7%でした。「それじゃ低すぎる。せめて2桁にしないと」と、トレーナーから言われていました。プロ野球選手なら体脂肪率の管理を意識するのは当然ですが、大切なのはバランスです。ある程度の脂肪がありながら、思うように動けるバランスはどこかを選手は考えています。なので、年々太っているのではなく、ベストの脂肪バランスを考えて体をデザインした結果なのです。たぶん……。

野球選手
写真=iStock.com/PeopleImages
※写真はイメージです

成績を残す選手はお尻が大きい

プロ野球選手の体型についてよく言われることに「お尻が大きい」もあります。確かにお尻が大きく、太ももが太い印象があるし、実際、それがプロ野球選手らしい「必然の体型」だと、個人的には思っています。

あくまでもぼくの考えですが、お尻が大きく、太ももが太くなる理由は筋肉の使い方にあります。ポイントになるのは、お尻やハムストリングなどの大きな筋肉。

アマチュアの指導は、太ももの内側の内転筋を強調しますが、プロ野球で成績を残す選手には、お尻やハムストリング、つまり太ももの外側、体の背面の大きな筋肉をうまく使うという共通点があります。言葉では説明しにくいのですが、お尻やハムストリングを使ったほうが、素早く、最大のパワーを発揮できる、というイメージです。

お尻とハムストリングを意識して動くと筋肉は大きくなります。するとパフォーマンスが上がり、刺激を与えられた筋肉はさらに大きくなる。毎日、練習と試合でそれを繰り返しているのですから、必然的にお尻は大きく、太ももは太くなるというわけです。