男性は「男らしさ」から降りられない

だが、そうだろうか。「土壇場では男は女を守るもの。そうでなければ卑怯である」という前提がそこにはないだろうか。女を置いて逃げる男は、男ではないと認識していないだろうか。

トイアンナ『弱者男性1500万人時代』(扶桑社新書)

そこに、男性が「男らしさ」から降りられない構造がある。そして、未婚であることが社会的に大きなスティグマとなり得る男性にとっては、女性から恋愛対象として“ないわ”と軽蔑されることが、あまりにも大きなマイナスとなるのだ。

もし、本当に「男らしさから降りて」も平等に扱われるなら、降りたい男性は多いだろう。だが、暴漢に脅されて泣きながら女性にしがみつく男性は、モテない。同じシチュエーションでも女性なら立ち向かおうが、泣きつこうが恋愛対象になるのとは対照的である。

念のため付記するが、日本で女性に対する差別がないとは言っていない。ただ、この数十年で女性が「女性らしさ」から少しずつ解放されてきた流れとは裏腹に、男性はまだ男らしさの呪縛に、がっちりと囚われている。男らしさは構造的な問題であるがゆえに、男性個人が「降りた」と反旗を翻すだけでは、価値観を引っくり返せないのだ。

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