全国から熱烈なビールファンが集まった

【井手】そうしたら、これが驚いたことに、大好評だったんです。日本中から熱烈なファンの方々が、イベント参加費よりも高額な旅費や宿泊費を自分で負担して、私たちのつくったビールを楽しみに集まってくださり、ニコニコしながら「てんちょ!」と声を掛けてくださいました。

感激しましたね。40人の笑顔で、一気に元気が出ました。自分たちがつくったビールが愛されている現場を見たことで、ものすごくテンションが上がったんです。長野に帰る道中も、スタッフと「イベントやって良かったな!」「またやろうな!」と大盛り上がりでした。

ファンの方々が、私たちを、楽しく幸せにしてくれたんです。直接ファンの方々と交流する機会というのは、こんなにも大切だったのかということがわかり、定期的にイベントを企画してスタッフも交代で全員参加するようにしました。

【山口】資料を拝見したところ、2015年の北軽井沢でのイベントに500人、2018年のお台場でのイベントでは5000人での開催とあります。40人から5000人まで参加者が増えるというのは素晴らしいことですね。

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「顧客は友人、社員は家族」

【井手】ええ。でも、イベントの規模が拡大したことより驚いたのが、ファンのみなさんが自発的にイベントを始めてくださったことです。交流できる場をもっと求めてくださっていたようで、「ファン宴」「超ファン宴」「めっちゃ!宴」、オンライン飲み会「よなよナイト2次会」など、ファン同士で企画して、社員も招いてくれました。

こうなってくると、もう、どっちがもてなしているんだかわからない状態ですよね。当社の理念の1つに「顧客は友人、社員は家族」というものがあります。

それがファンのみなさんにも伝わっているようで、とても嬉しかった出来事でした。私たちが「仕事を楽しむ」ことができているのは、熱量の高いファンのみなさんに支えられているからだと実感しています。

【山口】キャンプ場を貸し切って1泊2日で行われる、大掛かりなイベントもありますよね。

【井手】そうですね。準備や運営もいまだに全部社員がやっています。外にお願いするだけの予算がないということもあるんですが、最初から最後まで社員が請け負うことで、イベントが自分事になりますし、成功させようという気持ちの入り方も違うと思うんです。何より、自分たちでするほうが楽しいですよね。

それに、うちは優しいファンの方が多いので、手が足りなさそうなところは、見かねてお手伝いしてくれることもあります。本当に、ファンと一緒につくっていることを実感しています。