「格差」が広がると「犯罪」が増える

最後に、生活面での変化についても述べておきます。

今後日本では労働者の階層が分かれていくので、日本では格差がどんどん広がっていくはずです。

実際、最近では北米や欧州の手口を取り入れた犯罪も増えてきました。たとえば数万円の現金を奪うのに、真っ昼間に正面から人様のお宅や商店の玄関口から入り込んで強盗を行ったり、昼間に宝石店を襲ったりするような非常に荒っぽい犯罪です。

谷本真由美『激安ニッポン』(マガジンハウス)

しかもやっているのが未成年や20代の若い人々が目立つようになってきました。従来の組織犯罪がやらなかったような非常に効率が悪く手荒い事件が目立つようになったわけです。

今後は日本もどんどん格差が広がっていくので、とりあえずとにかく現金が欲しいという非常に短絡的な目的でこういった略奪を行うような犯罪が増えていくはずです。これはすでに北米や欧州が辿ってきた道です。

たとえばイギリスは1980年代までは比較的経済格差が小さく、特に戦後はイギリス病と言われた停滞を経験し経済不況もあったのでみなお金がありませんでした。

ところが金融ビッグバンで金融改革が行われ、製造業中心の社会からサービス業中心の社会になって階級の下克上が起こるようになりました。

そこで起きたのが経済格差の拡大で、生まれよりも努力によって稼ぐことができるようにはなったわけですが、お金のあるなしがはっきりと目に見えるようになりました。

しかもサービス業が中心になってきたので雇用が短期間のものばかりになり、かつてのような終身雇用がなくなります。

しかも仕事自体もかつて製造業が盛んだった頃は労働集約型的だったのですが、今や少人数の頭が良い人が行えば稼げてしまう業種が増えてきたので稼げる仕事が減っています。

そこでもうあまり稼ぐことができない若い人たちが空き巣や窃盗、薬物取引などを行うのです。

日本はだいたいイギリスの30年ぐらい後を追っているので、あと10年もしたら今よりも非常に短絡的な形での空き巣や強盗などがどんどん増えていくはずです。

そのような中で生活していくには、性善説に沿っていてはだめです。自分のことは自分で守るという意識を持たなければなりません。

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