ガムはロッテの1強、グミは群雄割拠

チューインガム市場はロッテの独壇場とも言える市場だ。日経POS情報がカバーする全国のスーパー71チェーン約1500店舗のPOS情報によると、販売金額の64.2%をロッテが占めている(2022年)。ボトルタイプの粒ガム「キシリトールガム ライムミント」が一番人気だ。

ロッテ「キシリトールガム」(画像=プレスリリースより)

日経POS情報によると、スーパーマーケットにおけるメーカー別シェア2位は、「クロレッツ」「リカルデント」で知られるモンデリーズ・ジャパン。CMでもおなじみのブランドを展開しているが、販売金額シェアは19.1%にとどまる。明治はモンデリーズに続く3番手だが、販売金額シェアは4.7%と大きく水をあけられ、2019年の6.3%からも縮小していた。

シェアの伸び悩み以上に、明治のガム市場撤退へ踏み切る要因になったのが、ガム市場そのものの退潮だ。

一方のグミ市場は、ロッテのガムのようなガリバー的な存在はなく、「果汁グミ」シリーズを販売する明治が販売金額シェア18.8%でトップ(2022年)。これにカンロ、UHA味覚糖などが続く。

ガムの顧客がグミに流れているわけではない

もうひとつ興味深いデータがある。グミはガムの市場から顧客を奪っているわけではないということを、マクロミルが分析している。同社によると、錠菓も含めたガムなどの口中清涼菓子のほかに、キャンディー、チョコレートからも顧客がグミへ流入しているという。

特に2022年は、小袋タイプのチョコレート菓子(ポケチョコ)から16億円がグミに流れた。さらに、グミを売り場で見つけて気になって買ってみたトライアルユーザーが、好きな商品を見つけてリピーターになっていったことで市場が拡大したという。

また、JMR生活総合研究所の調査によると、ガムを食べる頻度が減った人のうち、グミを食べる頻度を増やしている人は25%だった。同研究所では「ガムからグミに需要がシフトしたといった代替関係に両者はない。グミとガムの特徴や食べている人の背景は異なり、グミには話題性や嗜好性、ガムには機能性がある。人々の関心も高いことから、どちらにも今後の成長の余地はある」と見る。

ちなみに、ガムの市場は、喫食シーン減少で前年割れが続いていたが、マスクを外す人が増えたことで、需要が戻りつつある。市場をリードするロッテが、菅野美穂さんを起用したテレビCMを投下したことや、人気アーティストのBTSを起用したプロモーションを実施したことで市場は活性化してきた。