明治が「キシリッシュ」の販売を終了

明治がガムの主力ブランド「キシリッシュ(XYLISH)」シリーズと「プチガム」の販売を2023年3月末で終了した。「社会環境の変化により、ガムの価値と消費者のニーズとのギャップが大きくなった」(明治)というのが理由。同社はキシリトール配合商品の老舗格だったが、ロッテの主力商品「キシリトールガム」が強い市場で埋没。また、ガム市場が長期低落傾向にあることがこの決断につながった。

明治「キシリッシュ」
画像=プレスリリースより
明治「キシリッシュ」
明治「キシリッシュグミ」
明治「キシリッシュグミ」(画像=プレスリリースより)

キシリッシュは、虫歯予防に効果があるとされる「キシリトール」を日本で初めて配合した商品として話題と人気を集めた。発売20周年を迎えた2017年には、「イキがいいのだ」キャンペーンと題してロックバンド「キュウソネコカミ」にコラボレーション楽曲を依頼し、動画コミュニティ「MixChannel(現ミクチャ)」で募集した動画を基にしたミュージックビデオを配信して盛り上げた。

ただ、25周年を迎えた2022年は特段のキャンペーンをすることはなく、翌2023年3月で販売を終了した。売り上げのピークは2007年だった。一方で、明治はキシリッシュのブランド名をグミに転用し、「キシリッシュグミ」を2023年4月に発売した。

「お口のお供」はガムからグミへ

東京都内のとあるコンビニエンスストア。棚で最も目立つ目線の位置にはグミ、その下にはタブレット(錠菓)がずらり。ガムは最下段にある。POSデータを駆使するコンビニの棚は、商品の浮き沈みをシビアに反映する(人気のグミでも一部の韓国製グミなどは売れ行きが悪く、店の隅っこで割引シールが貼られ、見切りの対象になっているのもご存じの通りだ)。

調査会社インテージ提供の市場規模データによると、2017年のチューインガム市場は823億円、グミ市場は555億円と約270億円の差があったが、ガム市場は2018年767億円、2019年741億円、2020年612億円と縮小の一途。

一方のグミは2018年606億円、2019年619億円と拡大し、新型コロナウイルス感染拡大初年の2020年こそ569億円と前年割れしたものの、2021年は635億円と拡大し、同年593億円に縮小したガムを逆転した。

2022年のグミは前年比23%増の781億円と躍進し、548億円のガムに約230億円超の差をつけてリードした。わずか5年で、市場規模が逆転して立ち位置が入れ替わった格好だ。何か口寂しいときのお供だったガムは、そのポジションをグミに取って代わられた。

実際、ジェイ・エム・アール生活総合研究所(JMR生活総合研究所)の消費者調査(2023年5月、20~69歳の男女971人)によると、ガムとグミについて、1年前と比較して食べる頻度の増えた割合はグミが高く、ガムを4%ほど上回った。