「セクシーキャバクラ」で除名にしたことも

立憲民主党の泉代表も、8月25日の記者会見で、「党の見解は『処理水』だ」としつつも、「国会議員がさまざまな見解を持つことそのものは、即座に否定されるべきものではない」と語った。

ところが、その6日後の8月31日、与党側の野村哲郎農水相(当時)が、処理水を誤って「汚染水」と発言し、その後に撤回、謝罪した件に対して泉代表は、「気の抜けた対応だ」「言い間違いというものだとして、一連の処理水に対する対応は緩んでいると。自覚が足りない」などと批判し、厳しく追及する構えを見せたという。

写真=時事通信フォト
なぜ立憲民主党は暴走議員を処分しないのか(記者会見する立憲民主党の泉健太代表、2023年9月1日)

立憲民主党の見解や批判・処分の基準はどこにあるのか。立憲民主党内における処分などの対応がなされた他の事例と比較してみよう。

2020年、立憲民主党は新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言の発令後に、東京・歌舞伎町の「セクシーキャバクラ」と呼ばれる飲食店で遊興していた高井崇志衆院議員(当時。比例中国、現れいわ新選組幹事長)を除籍(除名)処分とした。

2023年には、衆院憲法審査会の毎週開催を「サルのやること」「蛮族の行為」などと発言した小西洋之参院議員に対して、党の規約で定められている4段階の処分のうち、最も軽い「幹事長注意」を行った。

「個人的な主張をするなら、党の名前を名乗らないで欲しい」

他の分野も確認してみよう。立憲民主党参議院比例第22総支部長である栗下善行は、自身のHPの冒頭に掲げる政策に表現の自由を強く掲げ、《マンガ、アニメ、ゲームを含むあらゆる表現を守るために全力を尽くします》と訴える。

ツイッター(X)でもたびたび「表現の自由」を訴えてきたが、ある時からアカウント名やプロフィールから「立憲民主党」の文字が消されていた。

しかし、栗下は立憲民主党を離党していたわけではなかった。

これに対し、同年6月26日に、一般ユーザーから《久しぶりに見かけたら、名前やbio(biography)から立憲の文字がなくなっていた。離党されたのか、これは支持しなければと思ったら消されていただけの模様。不誠実な感じで二重に残念。》とのコメントが寄せられた。

栗下はこれに対し、《これまでも度々書いてきましたが、2022年8月に立憲民主党幹部の方から「個人的な主張をするなら、党の名前を名乗らないで欲しい」と言われたためです。私もびっくりしましたが、党の名前を消す方を選びました。あまり荒立てたくありませんがこれはご理解頂けましたら》と返信している。