国内外に「風評被害」を広めている

漁業者団体の代表すら差し置いたうえで、石垣は具体的に誰との何をもって「約束を破って」と言うのか。世論が海洋放出に賛成多数の中で、「関係者」をあまりにも恣意的に仕分けしてはいないか。

挙句、「海洋汚染を広めていく可能性も否定できない」との発信は、国内外に誤解と風評を広め、他ならぬ地元漁業者たちを苦しめる言説だ。一体誰のため、何のための活動か。これも「立憲民主党の考えの体現」なのか。

度重なる「汚染」の喧伝には、多くの当事者が苦しめられてきた。多くのマスメディアも「海洋放出に反対する漁業者」ばかりを当事者として報じた一方、海洋放出反対運動という「社会正義」が踏みにじった当事者にはスポットをあてようとしなかった。

《娘がさ、大学の掲示板?SNS?に「汚染水とか言わないで」と、投稿したと自分に教えてきました。色々あって思う所もあったのでしょう。

けど、なんで被害者の福島県民がこんな誤解を解く行動をしなくては行けないのか。本当に切ないです。汚染水、汚染魚。どれ程傷ついたのか言う人間は知らない》

福島県内で農家を営む阿久津修司がXに書いた訴えは45.3万回以上表示され、2024年5月1日段階で1268件のリポスト、5129件の「いいね」が寄せられていた。

一体誰が、こうした当事者に寄り添うのか。「汚染」喧伝による人権侵害を止めるのか。

処理水放出は「科学的には一応答えは出ている」とした岡田幹事長

石垣の演説から2日後の8月29日、記者会見で見解を問われた岡田克也幹事長は、「『党を代表して』と、そういう立場で出て行ったとしたら、それは党の見解を述べてもらわないといけない」と答えた。

一方で、岡田幹事長は7月11日の記者会見で、処理水放出は「科学的には一応答えは出ている」としたうえで、風評被害を防ぐための努力が「十分だとはとても思えない」と発言し、理解を得るための努力が足らないという点で政府を批判してきたという。

黒板
写真=iStock.com/nicolas_
処理水放出は「科学的には一応答えは出ている」とした(※写真はイメージです)

7月20日には同党の長妻昭政調会長も、処理水放出について「風評被害を払拭する努力が足りない」として放出に反対する考えを示してきた(立憲民主党公式動画より21分7秒近辺)。