政治家として不勉強

国連科学委員会などの科学的知見及び「なぜセシウムだけを測るのか」の理由などを知らずにやっているなら、政治家として不勉強と断じざるを得ない。

共産党や社民党らと共に行った集会の演説で、石垣議員は処理水放出に対し、「約束を破って」と言った。

写真=iStock.com/maxsattana
「約束を破って」と言った(※写真はイメージです)

しかし、全漁連の坂本雅信会長は同年8月21日にALPS処理水放出に関して岸田総理と会談した際、「約束っていうのは、破られてはいないけれど、しかし果たされても居ないと、そういうように思っております」と発言した。

翌22日に行われた西村康稔やすとし経済産業相(当時)が県漁連の野﨑哲会長と行った対談でも、野崎会長からは改めて処理水放出には反対しつつも「現時点で約束は果たされていないが、破られたとも考えないという立ち位置」「廃炉を完遂したいという方向性は(国や東電と)同じ。反対という立場で日々、緊張感を持ってこの事業を見ていきたい」との発言が得られている。

批判の矛先が県漁連に向けられた

漁連がこのような言い回しをする背景には、2015年のサブドレン計画(汚染水の発生量を減らすため、建屋に流れ込む地下水を周辺の井戸でくみ上げ、浄化処理してから海洋放出する計画)を巡る経緯がある。

かつてサブドレン計画を漁連が容認した際、活動家の批判の矛先は県漁連に向けられた。県漁連の容認によって、サブドレン計画の実施が決まった形となったからだ。

ところが、国も県もこうした状況から徹底的に目をらし、「正確な情報発信を続けていく」などの杓子定規な「風評対策」ばかりで当事者を守ろうとしなかった。漁連側には、そのトラウマが根底にある。

だからこそ、「自分達が賛成したことによって政策が決定された」と見做される構図を二度と再現するわけにはいかなかった。