大型連休に「圧倒」される心理ストレス

旅行の癒し効果を述べてきたが、一方で、長期休暇は意外なことに心理ストレスが強いこともわかってきている。アメリカ心理学会による2023年の調査では、成人の89%がホリデーシーズンにストレスを感じると回答し、41%が一年の他の時期と比較してストレスが増加したと回答した。また、女性や低所得者、精神障害者にとって、休日は特にストレスの多いものとなるという(American Psychological Association, 2023)。これはアメリカでの調査だが、日本でもまったく異なる結果にはならないだろう。

まとまった休日には、旅行やイベント参加など、特別なことをしなければと、強迫的になっている人が多いということだろう。特に予定もなく家にいると、行楽地はかつてない人出だというニュースや映像が、テレビやネットからどうしても目に入ってしまう。ますますこういった情報に圧倒されてしまうが、混雑や物価高騰などで、行くに行けない。休み中の過ごし方を巡って、家族間で揉めることもあるかもしれない。

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日本特有の「一斉に休む文化」が孤独感を強化する可能性

あるいは他人の海外旅行などを妬んでしまう、休み中の過ごし方について意識しなくても友人間などで心理競争してしまっているなど、休み中の過ごし方でストレスを感じ、孤独感や疎外感を強くする人が多くなるのも肯ける。まして大型連休に仕事をしている人のなかには、割り切っている人もいるのだろうが、「なんでこんな休みに仕事」と不満に思う人もいるだろう。

長い休みに伴って生じる疎外感、孤独感は、日本特有の「一斉に休む」文化のもとで、より強化されているかもしれない。