ISTは「宇宙への輸送業」

ロケットを量産した後の打ち上げサービスの輸送費用は8億円以下を目指しているという。「それでも他の民間会社に比べたら安いです。アジア、中東の会社はそれくらいの金を出す余裕はありますよ」(堀江)

同社はISTを「宇宙へ行く佐川急便」と表現する。つまり、人工衛星を軌道に載せる。その後、人工衛星は働く。

地球や宇宙の観測を行う。気象データをはじめとするさまざまなデータを収集し、科学的研究や予測に活用する。そして、放送や通信の送受信だ。科学実験や地球環境の監視も行う。

撮影=プレジデントオンライン編集部
宇宙事業はかつて夢見たロマンではなく、気象データや放送・通信の発達に欠かせないビジネスになっている

宇宙開発は実生活に欠かせないものになっている

また、衛星通信ではイーロン・マスクがスターリンクのサービスを始めている。

宇宙から災害現場を特定し、ウォッチする効用もある。アマゾンの熱帯雨林で火災が起きた場合、衛星からの監視で場所を見つけ、消火に結びつけることもできる。

宇宙開発は夢やロマンといった抒情的な表現で語られる仕事ではなく、現実の生活に欠かせないものになっている。

ISTがやっているロケットの打ち上げサービスは人工衛星を運ぶだけの輸送サービスと捉えられがちだ。だが、軌道に乗った人工衛星が地球に送ってくるデータには計り知れないほどの価値がある。得るもののほうが大きいのがロケット輸送サービスだ。

それを考えるとロケット輸送サービスはかつての東インド会社のそれに似ている。東インド会社の船は喜望峰をまわってアジアへ向かい、香辛料を手に入れて戻ってきた。ISTを東インド会社になぞらえるとしたら、ホリエモンたちがやっているのは出資者を集めて、船を建造している段階だ。まだまだこれからだ。

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