子供の「やる気」を求めてヤキモキするのは時間の無駄

みなさんからいただく相談のトップ3の一つ。それが「やる気」。

「いつになったらやる気になるのでしょうか」
「入試が自分ごとにならない状態にヤキモキします」

という相談は、あらゆる学年からいただきます。

長い指導人生の中で、「本格的にギアが入ったな」と感じることが多いのは、6年の冬です。つまり、そこまでは「この子にやる気はあるのだろうか?」という状態がどのご家庭でも続きます。

他にも、入試が始まり、第一志望の不合格を知ってやる気になる子もいます。最後までやる気にならないまま、受験終了になる子もいます(合格はもらえたりもらえなかったり)。

つまり、「やる気」を求めてヤキモキするのは時間の無駄、とも言えます。

だから、もうやめませんか。

「やる気に満ちた受験生」を追い求めるのは。

学校に行って、その後塾にも行って、土日も特訓やテストで潰れて、すごく頑張っているんです。

学校でも塾でも家でも勉強して、「何もしなくていい休息日」はほぼなし。体力も気力も相当消耗して、そこから「やる気」を捻出するエネルギーは残っていません。

でも、ときどきありませんか?「チラッ」「キラッ」と、子どもがやる気を見せる瞬間が。たっぷり睡眠を取った後、思い切り遊んでスッキリした顔をしているとき、とても嬉しいことがあったときなど。つまり、やる気のベースは「体も心も元気な状態」なのです。

写真=iStock.com/Milatas
※写真はイメージです

親はどうしても継続的にやる気のある状態を求めますが、瞬間的なやる気も大切にしてあげてください。そして、どういうときにそうなるのか、よく観察してあげてほしいと思います。

同時に、一方的にやる気を求めるばかりでなく、心にエネルギーを充てんしてあげることも、ぜひ意識していただきたいと思います。

自ら勉強に向かい、その勉強姿勢にやる気がみなぎり、解いた問題を間違えたら悔しがってきちんと解きなおしをし、テストで次こそはと闘志を燃やす。

こんな理想の受験生像は、漫画の中にしかいません。

「どれだけ息抜きすればいいか」の最終結論

「息抜きはどの程度させたら良いですか?」

これもよくいただく質問です。

以前、東大理IIIに進学した4人のお子さんを持つ佐藤亮子さんと対談セミナーをしたときに、佐藤さんが「息はするだけ、抜いちゃダメ!」とおっしゃって、ファシリテーターの方と爆笑した覚えがあります。

佐藤さんもそう言いつつ「子どもたちもなんだかんだ私の目を盗んで、こっそり息抜きしてたみたい」と(笑)。

人間、息抜きなしで走り続けることなどできませんが、でも受験生だし……とさじ加減に悩まれますよね。

結論から言えば、息抜きの程度は子どもによります。“受験生だからこうあるべき”ではありません。これは遊びにも言えることです。

子どもによるわけですから、当然親が一方的に決めることもできません。

私の算数指導は基本的に1回2時間ですが、集中力の持続しない子は途中3~4回休憩を挟むこともありますし、休憩方法もおしゃべりする子、お菓子を食べる子、ルービックキューブをする子とさまざまです。

入試直前期でやる気みなぎる6年生には、休憩なしで3時間ぶっ通しの指導をすることもあります。

「息抜き」でバトルになってしまうのは、「スケジュールにない時間に息抜きしているから」「勉強密度が低いのに息抜きだけしっかり取ろうとするから」「息抜きの合間に勉強をしているようにしか見えないから」……ですよね。お気持ち、とてもよくわかります。