日常会話で子どもの学力を高めることはできるのか。受験指導専門家の西村創さんは「親が聞き上手になれば、子どもは論理的思考力・学力ともに高めることができる。話の聞き方には5つのポイントがある」という――。(第4回/全4回)

※本稿は、西村創『中学受験のはじめ方』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

遊ぶ子どもと仕事が手につかない大人のイメージ
写真=iStock.com/kohei_hara
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ゲームやアニメの話でも論理的思考は育まれている

・かける言葉を1文字変えれば、子どもの反応は変わる
・感心を言葉にして伝える
・日常のおしゃべりの中でも、子どもの論理的思考は育つ
・子どもの言葉を引き出す聞き方を意識する

日常の会話の中で、お子さんが自分の好きなものについて熱く語っているときは、聞くことに徹しましょう。熱く語っているときのお子さんは、「この想いを受け止めてほしい!」と、どうにかして相手にわかるように伝えたい気持ちが高まっているはずです。

相手にわかるように伝えるには、複雑なものを整理し、シンプルに伝える必要があります。これは論理的思考の基本です。机に向かって勉強しているときだけでなく、子どもがゲームやアニメについて語っているときなど、日頃のおしゃべりの中でも、論理的思考は育まれていくのです。

親子の円滑なコミュニケーションは、結果的に子どもの論理的思考につながっていくのです。それでは、親子のふだんの会話から子どもの論理的思考を育てるために、親はどんなふうに話を聞くといいのでしょうか。5つのポイントを具体的に挙げていきます。

リアクションは大きく、否定は少なくする

1 話を広げる手助けをする

まずは、話を広げる手助けをしてあげましょう。といっても、難しいことではありません。今までよりも少しだけ、リアクションを大きくしてみてください。それだけで子どもの話したい気持ちがアップします。

親が子どもと一緒に笑い「わぁ、すごい!」と大きくうなずいて見せると、子どもは安心して、知っていることをどんどん話してくれます。今までよりも少しだけリアクションを大きくして、子どもが話しやすい雰囲気をつくってみましょう。

2 否定を少なくする

私たちのように昭和の教育を受けてきた世代は、親や先生や上司から「◯◯するのはやめなさい」とさんざん言われてきました。頭では、わが子を否定する言葉はダメだとわかっていても、つい、これまで自分が言われてきたように「それはダメ」と言ってしまうものです。

そこで、「今忙しいからダメ」とか「それは違うよ」と否定したくなったときは、クイズに変えてしまうのがおすすめです。

たとえば「ちょっと待ってね、今お母さんは何をしているのかな?」と、子どもに考えさせてみます。そうすると子どもは「食器を洗っているね。じゃあ、終わったら来て」と待つことができるかもしれません。そんなにうまくはいかず、「やだ。今すぐ来て!」と言われたら、「じゃあ食器洗いのお手伝いをしてくれる? 一緒にやったら早く終わるよ」と提案することもできます。

否定の言葉をクイズや提案に置き替えることで、誰が・何を・なんでしているのか、論理的に考えるきっかけになります。