子育てをしていれば、子どもを叱る場面は避けられない。では、どんな叱り方をすべきなのか。受験指導専門家の西村創さんは「多くの親がつい言ってしまうけれど、できれば避けたい叱り方がある。だが言い方を改善することはできる」という――。(第3回/全4回)

※本稿は、西村創『中学受験のはじめ方』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

腕を組んで怒る人のイメージ
写真=iStock.com/AH86
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「怒りそうになったら大きく深呼吸」と言われても…

・わが子をむやみに叱っても効果はない
・避けたい叱り方と、叱り方のポイントを把握する

よく「怒りそうになったら、とりあえず大きく深呼吸しましょう」などといわれますが、本当に効果があるのでしょうか。大きく息を吸い込んだら、そのぶん大きな声で叱ることになっている方もいるのではないかと思います。期待しているわが子だからこそ、親もつい熱が入って言いすぎてしまうものです。

そこで、多くの親がつい言ってしまうけれど、できれば避けたい叱り方と、どういうふうに言えばいいのかという改善ポイントをお伝えします。

「この前もそれで失敗したでしょ?」はダメ

NG1 過去を引き合いに出す叱り方

まず避けたいのは、「この前もそれで失敗したでしょ?」という叱り方です。今まで穏やかに注意し、冷静に諭してきたのに一向に改善されず、今回もまた同じことをやらかした。そうなると、一気に怒りが爆発してしまいますよね。

これは、大人と子どもの時間感覚の違いが引き起こす問題です。

大人は1年前のできごとでも結構最近に感じるものですが、子どもにとっては1年前なんて、記憶に残っていない大昔です。同様に、大人にとって1カ月前、1週間前というのは「最近のこと」ですが、子どもにとっては、「ずいぶん前のできごと」という感覚です。大人は「この前言ったばかり」と思っていても、子どもはそう感じていないのです。

また、親が重要だと思って伝えたことでも、子どもはそう感じていないこともあります。「前にこれをやって注意された」という意識が薄いから、また同じことをやってしまうわけです。そうした意識の面でも、大きな開きがあります。