子育て本にはしばしば「ほめて伸ばすのがいい」と書かれている。だが、実践するのは難しい。受験指導専門家の西村創さんは「ほめるよりも子どものやる気を引き出すコツがある。それは、今まで子どもにかけていた言葉から、1文字を変えることだ」という――。

※本稿は、西村創『中学受験のはじめ方』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

三角定規を使用して、算数の問題を解いている少女
写真=iStock.com/Hakase_
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「ほめて伸ばすのがいい」と言われても…

・かける言葉を1文字変えれば、子どもの反応は変わる
・感心を言葉にして伝える

多くの子育て本には「叱る」よりも「ほめて伸ばすのがいい」と書いてあります。確かに、ほめるより叱ることが多いと、子どもは反抗するか、心を閉ざして聞き流します。

でも、叱りたい状況で、気持ちにウソをついてほめると、親のストレスが溜まります。そもそも、宿題をせずにゲームをやり続けているような状況では、ほめろと言われても無理がありますよね。結局、叱ることで「そのときだけは」なんとか勉強に向かわせる、というご家庭が多いのではないでしょうか。

そこで、「ほめる」よりも子どものやる気を引き出すコツをお伝えします。それは、今まで子どもにかけていた言葉から、1文字を変えることです。それだけで、子どもの反応が変わります。

子どもにかけていた言葉から変える1文字

子どものやる気を引き出すために変える1文字というのは、「ね」を「な」にすることです。「すごいね」と言っていたのを、「すごいな」と言い換えるのです。

「すごいね」は子どもをほめる言葉ですが、「すごいな」は子どもに感心する言葉です。「ほめる」というのは、相手の反応を期待する行動だといえます。でも「感心する」というのは、相手に関係なく、こちら側だけで完結する行動です。

ストレートなほめ方がそのまま子どものやる気に結びつくのは、個人差はありますが、だいたい小学校の低学年くらいまでです。高学年になると、ただ「よくできたね」とほめられても、子ども扱いされているようで、喜ばない子どもの割合が増えてきます。子どもは、大人扱いされたいものです。したがって子どもをほめようとすればするほど、子どもの機嫌は悪くなります。だから子どもの機嫌を取ろうとするのはやめて、ほめるのではなくて、ただ感心するのです。