「ほめる」より「感心する」ほうが簡単

子どもは、ほめ言葉の裏にある親からの期待を感じ取るものです。そして、「そんなのあたりまえでしょ!」と反発します。すると親のほうも「せっかくほめたのに」と悔しくなってしまいます。

うまくほめるには、反発されない形でほめる技術と、反発されても温かく見守れる心のゆとりが必要になるのです。

その点「感心する」のは簡単です。自分が勝手に「感心する」だけですからね。感心は相手の反応を期待するものではなく自己完結していますから、悪い影響が出にくいのです。ここが「感心する」ことと、相手のリアクションを期待する「ほめる」ことが大きく違うポイントです。子どもをほめようと思ったら「ほめるのではなく、ただ感心を示そう」と考えてみてください。

感心を示すコツは、子どもに伝えるように感心するのではなく、心から感心して、それをひとり言のようにつぶやくことです。作為的ではなく、心から感心することです。これが習慣になると、子どもの態度が変わってきます。

娘の肩に手を置く母親に笑顔で話しかけている少女
写真=iStock.com/Hakase_
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マイナス面よりプラス面を意識したほうが楽しい気分になれる

「そんなに感心できるところがあっただろうか」と思う方もいるかもしれません。日々一緒に過ごしているわが子のことは、あたりまえになりすぎて、良いところになかなか気づきにくいものですから。それよりも、悪いところばかりが目につくと思います。これは、子どもだけではなく、大人に対してもそうですよね。

人は、意識しないと、その人のプラス面よりもマイナス面に意識が向きます。だから、わが子のプラスの変化を意識的にとらえる必要があるのです。わが子への「関心」のアンテナ感度を上げて、「感心」を示せる機会を逃さないようにしましょう。

思い返せば私が多くの生徒から慕ってもらえたのも、ひたすら生徒1人ひとりのいいところを探して、感心し続けてきたからだと思います。こうした姿勢で生徒と向き合うことは、結果的に生徒のためにもなりましたが、もともとは自分のためでした。

マイナス面を意識するよりも、プラス面を意識したほうが楽しい気分になりますからね。感心できるところを探すことは、子どもにも自分にもプラスの影響をもたらすのです。

■ 子どもへの声かけの語尾を「ね」から「な」に変える。
■ 「ほめる」のではなく「感心する」。
■ わが子のプラス面に目を向け、感心できるところを探す。