10歳の子どもの日本語レベルは「親の英会話レベル」

3 親がしゃべりすぎない

今から英語で自己紹介をしてください、と突然言われたら、どう思いますか? よほど英語に慣れた方でなければ、あわててしまうはずです。このあわてる感覚が、子どもの気持ちそのものです。

10歳の子どもは日本語に10年間しか触れていません。つまり、10年間英語を勉強した親の英会話レベルと同じくらいの日本語レベルといえます。その状態でよどみなく流暢に話すことは難しいですよね。

親がたくさんしゃべりすぎると、まだ日本語レベルがつたない子どもは、思考停止してしまいます。ですから、親がしゃべるよりも、「うんうん、それで?」「なるほど、そうしたら?」というように次をうながす相づちを入れながら話を聞いてあげましょう。すると子どもは「まだ自分の話を聞いてくれるんだな」と、安心して話を続けることができます。

4 5W1Hの質問をする

5W1Hとは、When(時間)、Where(場所)、Who(主体)、What(目的・人・もの)、Why(理由)、How(手段・方法)という、できごとを客観的に伝えるための6つの要素です。子どものおしゃべりから5W1Hを引き出す際は、少し言葉を変えてオウム返しをするといいでしょう。

たとえば子どもが「今度の日曜日に公園でサッカーするんだ! 自転車で行ってくるね」と言ったとします。この場合、5W1Hのうち、When、Where、What、Why、Howを伝えてくれていますよね。

そこで、「今度の日曜日に公園に行くんだね、誰と一緒に遊ぶの?」などと、オウム返しをしつつ、説明に含まれなかったWhoを尋ねるわけです。そうすると、お子さんは、物事を正確に伝える力が身についていきます。

公園で遊ぶ子どもたちのイメージ
写真=iStock.com/TATSUSHI TAKADA
※写真はイメージです

成績が上がっている子の親に共通する「会話の内容」

5 子どもに勉強を教えてもらう

勉強を教えることで一番学ぶことができるのは、教えた本人です。ですから、学校や塾で学んだことを、自分の言葉で親に教え直すと、学びを深められます。子どもが勉強したことを親に話すのは、家庭でできる最大の復習です。

西村創『中学受験のはじめ方』(KADOKAWA)
西村創『中学受験のはじめ方』(KADOKAWA)

塾で、成績が上がっていく生徒の保護者たちに、「何かご家庭で、お子さんの勉強を見てあげたりしているのですか?」と尋ねてみました。

すると、「特別なことは何もしていません。学習内容が私にはもう難しいので、子どもにひたすら、その日の授業で習ったことを教えてもらっているだけです」とおっしゃる保護者が多いのです。

子どもに無理に勉強を教える必要はありません。親が必死に学習内容を頭に入れて子どもの面倒を見るよりも、子どもから塾で聞いた内容を教わるほうが、ずっと学習効果が大きいのです。