子供のやる気を引き出すにはどうすればいいか。中学受験カウンセラーの安浪京子さんは「長い指導人生の中で、子供が『本格的にギアが入ったな』と感じることが多いのは、6年の冬だ。そこまでは『この子にやる気はあるのだろうか?』という状態がどの家庭でも続く。つまり、『やる気』を求めてヤキモキするのは時間の無駄、とも言える。やる気ではなく『何も考えず、単純な勉強を始める』『体を動かす』などの、やるべきことを淡々とやるべきだ」という――。

※本稿は、安浪京子『勉強とメンタルの悩みを解決!【決定版】中学受験をするきみへ』(大和書房)の一部を再編集したものです。

自宅でヘッドセットをつけてオンライン学習をする少年
写真=iStock.com/kohei_hara
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「やる気」よりも「やるべきこと」を

ある日、教え子と一緒に「やる気スイッチ」を作りました。

「先生、どうしてもやる気が出ない。スイッチってどこにあるの?」

と聞かれ、体のあちこちを押してみたのですが「どこも違う。てか、くすぐったい」との反応。それなら、と紙で箱を作って真ん中にスイッチの○を書き、「スイッチオン!」と二人で言いながらボタンを押していました。

――それくらい、みんな「やる気」に悩んでいるんだよね。

でもね、中学受験は、入試当日はきみに「やる気があるかどうか」なんて聞いてきません。日々、どれほどやる気をもって過ごしてきたかも聞いてくれません。

シンプルに、当日の点数だけで決まります。

「やる気」という魔物にとらわれてしまうと、「やる気が出ないから勉強できないんだ」と、自分に言い訳をしてしまいがち。

だから「やる気」なんてもう忘れちゃおう!

そして、「やるべきこと」を淡々とやろう。

そのコツはいろいろあるけれど、

①何も考えず、単純な勉強を始める→計算や漢字がオススメ
②達成できそうな目標を立てる→勉強時間をちょっと短めに決めてみる
③取り組む前の習慣を作る→鉛筆を削ったら3秒以内に何か書き始める など
④体を動かす→体を動かすと脳も動いてくれるよ
⑤心配事があったら誰かに吐き出す→心配やストレスはないにこしたことない

ほかにも、「ごほうびを決める」「時間で区切る」なんかもいいね。でも、一番有効なのは「①何も考えず、単純な勉強を始める」。

ちなみに、スイッチを一緒に作った子とは「このスイッチを押したらつべこべ言わず問題を解こう」と約束して、その後はスイスイと課題を消化していきました。何度も押して、すぐにスイッチの箱がグシャグシャになったけどね(笑)。