私のワークショップでは、質問されたら2.1秒以内に話し出すという訓練を行って、徹底的に「話しながら考える」クセをつける。これは決して高いハードルではない。たとえ厳しい質問を受けても、“Okay. That's a really good question, hmm”と、瞬時にリアクションを返して時間を稼ぎながら考えをまとめていく。“Well, actually……”といったセンテンスもよく使うし、相手の意見に対しては、“Great!”“That's right”“Of course”といった言葉でとりあえず反応する。これが、速さのポイント。

グローバルインパクト 
代表パートナー 
船川淳志 

慶應義塾大学法学部卒業、米国サンダーバード校MBA取得。米国でのコンサルタントを経て、現職。グローバル人材育成のプロ。

うまさとは文法的な正しさではなく、ロジカルさ。「誰に会ったのか」を相手に問うとき、受験英語では“Whom did you meet?”が正解だが、ビジネスの現場では“You met who?”で事足りる。時制や構文よりもロジック(論法)が大切なのだ。

最後に、安さ。速くてうまい英語をものにするためには実践が第一。高い学費を払って英会話学校で習う前に自分でできることが山ほどある。たとえば、駅前で困っている外国人に話しかける。“Can I help you?”“I wanna go to Akasaka”と言われたら“Oh, this is Ginza line and you go this”と答える。それだけで、度胸はつくしスピーディーで的確な語法のコツもつかめる。牛丼英語はやる気さえあれば誰でもマスターできるのだ。

表情やボディランゲージもコミュニケーションの大事なツール。とくに日本人は表情が乏しいので、アナウンサーがする滑舌体操や表情筋のエクササイズを行うといい。あと、英語の無声音は腹式呼吸をしなければ表せない。腹筋と呼吸法の鍛錬も必要だ。

英語力を高めるには日本語力の向上も不可欠。英語を話すときに、日本語でできる以上のパフォーマンスは絶対に出すことはできない。日常会話から、あいまいさを排してロジカルに話すことを心がけよう。

(構成=小檜山 想 撮影=矢幡英文)
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