「コンビニ店員へのクレーマーと同じ」最も愚かな勘違い
長谷川議員はその主張を長々と書いているが、要は①飛行機遅延の理由を子細に航空会社が乗客に説明しなかった、②乗客に伝えた遅延見込み時間よりも遅れた、ということにひどくムカついて文句を言ってなにが悪いのだ、という意識が透けて見える。よほど「遅れること、待たされることが耐えられない」タイプらしい。聞けば、この議員は「パワハラ体質」では「札付き」で、その悪名は航空業界のみならず、永田町・霞が関などでも広く知れわたっているという。
どんなに理路整然と自分の主張を展開しようと、ここに挙げた航空会社の見解は理解・許容できる内容であり、一般論として航空会社の対応が間違っていたとは言えないだろう。
こうした交通機関の遅延には、私たち一般国民もしょっちゅう遭遇する。その際、内心では「予定が狂ってしまう」などと思いつつも、基本はじっと黙って待つ。航空会社など運営会社にいちいちいちゃもんや文句をつけたりもしない。
長谷川議員はこのブログでの反論を「今後も原則に基づいて航空行政について発言して参りたいと考えます」と締めくくっている。思えば、コンビニの店員にいちゃもんつけるクレーマーも「お前たちのサービスが悪いから、指摘してあげている、教えてあげているんだ」という「世直し」モード、間違った義憤に駆られている人が多いが、彼の口調とロジックはまさにそういったクレーマーそのもののように映る。
意図しているかどうかは不明だが、自分が上でサービス提供事業者は下、という「選民思想」「上級国民思想」丸出しで、理詰めで、重箱の隅をつつくような指摘を続ける姿勢に、嫌悪感や幼稚さを覚える人も多いかもしれない。
今回の問題における、長谷川議員の最も愚かな勘違いは、彼の主張に正当性があろうとなかろうと、誰に対しても、威圧的な言動をとってはならない、という根本的なコミュニケーションのルールを守っていないというところであろう。「何を言うのか」以上に、「どのように言うのか」は重要であり、「言い方が9割」なのだ。政治家はプロの言論人であり、そんなことは百も承知のはずだ。結局のところ、「リーダーとしての品格がない」。それに尽きる。
そもそも国民から選ばれ、国民の税金で飯を食い、地元選挙区などへの新幹線や飛行機にも一部無料で乗っている人間が、とんでもない特権階級意識をひけらかして謙虚さのかけらもなく、「正義の番人」面をするのはおかしい。吉幾三さんもビデオの中で、「大人ならちゃんと人との接し方しなきゃ」「機嫌の悪いときはしゃべらなきゃいいじゃん」と述べているが、要は大人の、なかんずく、国民の負託を受けた人間のとるべき対応ではなかったのは自明のことだ。
次から次へと明るみに出る自民党議員の不祥事にわれわれ国民の怒りは頂点に達している。今回、長谷川議員が世に開陳した実に見事な三カ条「正確な情報を伝える」「不都合な情報を開示する」「正しい見立てを立てる」はぜひ、身内の自民党議員の皆さんにこそ問うていただきたい。