4票差で町長に当選した翌月からパワハラ・セクハラの訴えが

さて、元町長は具体的にはどのような行為を行っていたのだろう。小島氏が町長に就任したのは2020年10月だ。岐南町は人口約2万6000人。小島氏の得票数は2969票、次点の候補者とは「たった4票」の僅差で選出された。

そして町長になった翌11月、すでに組織内から被害を訴える声が出始める。当初、副町長らは町の顧問弁護士に相談し、問題行為をやめるよう進言するが、おさまるどころか彼は「誰がいったんや」と逆ギレ、犯人探しをほのめかす。

その後も元町長は職員に対し、数年にわたり以下のような行為を働く。トップによるパワハラ・セクハラの横行する職場が働きやすいわけがなく、当然、退職者も複数名出る事態となった。これら行為はあくまでも抜粋であり、詳細は調査報告書で知ることができる。

岐南町ハラスメント事案に関する第三者調査委員会「調査報告書」より

調査報告書に記された99ケースものセクハラの中身

女性職員へのセクハラ行為

・頭をポンポンとなでる
・おしりをさわる
・ネイルにさわる
・「手相を見てやろう」といって手をさわる
・自身の手を見せて「すべすべだろう」とさわらせる
・ズボンをまくり上げ、自身の脛にさわるように指示する
・背後から近づいてポニーテールにさわる
・手をつなぎ、肩を抱き寄せる
・人目につかない場所に呼び出し、ふとももをさわる
・後ろから抱きつく
・個人スマホにLINEを送り、応じないと業務中に町長室に呼び出す
・相手の胸を見ようとする目的で、しゃがませる

この調査報告書、岐阜県内の3名の弁護士の手によるもので、91ページにもおよぶ大作である。具体的な行為を挙げるだけでなく、特に悪質だった件については誰に(被害者AさんからHさんまでが登場する)どのような状況で行われたのか、またそれがどんなハラスメント――セクハラ、パワハラ、マタハラ、パタハラなど――にあたるのかが明快に解説されている。

非常によくできた資料なので、「自社のハラスメント対策に自信がない」という人事や総務の方、「もしや自分も気づかないうちにハラスメントを?」と不安になった方は、ぜひ、ざっと目を通していただきたいとも思う。まさに生きた教材である。