「自転車は歩道も可」としたのは警察

ところが次からがダメ。「ああ、やっぱり」というべきか、ここにこんなのが混じってくる。

◎歩道での通行方法違反
〔歩道を通行すること・例外的に歩道を通行できる場合(=自歩道)でも徐行などをしないこと〕
◎ブレーキが利かない自転車に乗ること
◎傘を差したりイヤホンを付けたりしながら運転するなど

いや、悪いは悪いのだ。私なども1970年(昭和45年)からずーっと自転車の歩道通行はダメだと言い続けてきた。ま、1970年時点で私は4歳だったんだが、「自転車は歩道も可」と、道交法が改正されたのがこの年だということで。

具体策と理念がゴッチャになったというのがまさにここだ。

前出の1970年道交法改正からずっと、日本では「なんとなく自転車は歩道通行も可」とされてきた。その結果、ほぼすべてのママチャリが歩道を走っているのは日本人誰もが知っての通りだ。

また、歩道の徐行というのは、警察庁の解釈でいうと7.5km/h程度のスピードを指す。

一方、ママチャリの一般的な速度は10~15km/h。ロードバイクやクロスバイクはもっと速い。要するに、現在、歩道走行している自転車は全員違反だ。

これを全員取り締まるのか、と。

「なんでも検挙」ではなくメリハリをつけるべき

たとえば歩道の子乗せママチャリを検挙して、反則金とって、「今後は車道を走りなさい」と言って、現在の日本のインフラのままで、そのママが次から車道を走るのか、と。

こういうことをやると、捕まった人は「単に運が悪かっただけ」になってしまい、せっかくの青切符に意味がなくなってしまう。

同様のことは、ブレーキ不良にも、傘にも、イヤホンにも言える。限られた「取り締まりのリソース」をそんなものに振り向けてどうする。それよりも今の喫緊の問題、すなわち「電ジャラス自転車」「逆走」「信号無視」「ケータイながら運転」のような明らかな「未来の事故のもと」を片付けるべきだろう。

要するに「検挙にメリハリをつける」べきなのだ。

写真=iStock.com/akiyoko
※写真はイメージです

切符を切るのは、事故に直接結びつく悪質な違反に限定し、それを確実になくす。

で、それ以外はまた後ほど(日本の自転車道・自転車レーンが十全に整備された後)というような姿勢をとるべきではないか。

でないと、またきっと元の木阿弥になる。私はそこを危惧する。

「青切符導入したけどダメでしたー」という未来が見える。

青切符がダメなんじゃない、優先順位をつけない、取り締まりの思考停止と稚拙がダメなのだ。

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