口コミサイトはあくまでも参考にとどめ、客観的データを収集

一方、20代の応募の取りやめや、内定辞退の影響で最も多かった「給与・賞与の不満」や「残業・休日出勤の多さ」は就活生もとくに気にする点だろう。これも主観的な不満や、特定部署の残業にすぎないかもしれない。一社員が会社の平均残業時間や休日出勤日数を知っているとは思えないし、鵜呑みにしてはいけない。

口コミサイトはあくまでも参考にとどめ、客観的データを収集することだ。たとえば給与を知りたいのであれば、上場企業であれば、有価証券報告書に社員の平均年収と年齢が出ている。

たとえば「40歳、900万円」とあれば、初任給(22歳)を起点に40歳までの賃金カーブを描き、毎年どのくらいずつ上がっていくかが大雑把だが推測できる。

あるいは労働組合のある企業であれば、中央組織の連合の春闘結果に個別企業の30歳、35歳の事務・技術職の給与の妥結額が提示されている場合もある。その中には賞与の金額や月数も出ている場合もある。

また、有価証券報告書には公表が義務付けされた「女性管理職数」と「男女の賃金差」を知ることができる。

さらに厚生労働省のホームページの「女性の活躍推進企業データベース」では、「男女別の育児休業取得率」、「平均残業時間」「有給休暇取得率」などが企業名で検索すると見ることができる。

ただし、「男女の賃金の差異」(従業員301人以上)は22年7月、「男性の育児休業取得率」(1000人以上)は23年4月から公表が義務化されたが、他の項目は選択して公表できる。厚労省の担当者は「良いデータもそうでないデータも数多く公表している企業もあれば、求職者にアピールしたい項目だけを公表している企業もある」と語る。

逆に言えば「平均残業時間」を公表していなければ、この会社は残業が多いかもしれないと推測できる。そして最も手っ取り早い方法はOB・OG訪問や、面接で直接人事に聞き、真実を確認することだ。たとえば「口コミサイトにこう書かれてありましたが、どう思われますか」と聞く。納得できる答えが返ってくれば疑念は解消できるし、曖昧な答えが返ってくれば「もしかしたら口コミは本当かもしれない」と思うかもしれない。

口コミを鵜呑みにして応募をやめれば、せっかくのチャンスをふいにしてしまうことになりかねない。口コミの情報を参考に、自分の口と足を使って真実を確かめてほしい。

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