まずは国際テロ情報収集ユニットの強化を

いずれにせよ、今般の東アジア情勢を鑑みるに、日本の情報力強化は急務だろう。霞が関の組織文化からすれば、既存のシステムの積み増しがたしかに現実的かもしれないが、日本だけが専門の情報機関を持たないというのは、やはり制度的な欠点であり、弱点である。

黒井文太郎『工作・謀略の国際政治 世界の情報機関とインテリジェンス戦』(ワニブックス)

もちろん賛否両論あってしかるべきだが、日本の情報機構の強化について、さらなる議論を望みたい。なお、内閣情報調査室を大幅に拡充して新たに日本版CIAができたらそれに越したことはないが、前述したように日本の官僚制度では急な実現は難しいので、黒井案として以下の2つを提起したい。

①内閣官房直属で形式的には外務省総合外交政策局の下という建付で創設された国際テロ情報収集ユニットを、現在の100名弱から倍増し、権限強化し、実質的な対外情報収集組織とする。

②法務省外局の公安調査庁から国内公安情報部門を撤廃し、対外情報分析専門の組織とする。

以上は単なる私案だが、ウクライナや中東で起きていることは対岸の火事ではない。さまざまなレベルでの議論を切に希望する。

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