「本音を話してみよう」という勇気が必要

そんな人にとって、「ちょっと聞いてほしいことがあるんだけど」と口にすることは、新しい自分に生まれ変わらなくてはできない一大事です。

「わかってもらえなくていい」と、突っ張ることで自分を守っている状態
➡「わかってもらいたい」と、こころを開いた無防備な状態

こんなふうに、無防備な状態に自分を変えることを求められるからです。

「ちょっと聞いてほしいことがあるんだけど」

この一言は、2人の間に「わかりあえる関係」がつくられていくための第一歩です。すべては、ここから始まるといってもよいでしょう。

「本音を話してみようか」とチャレンジする、ちょっとした勇気が必要です。

相手を身構えさせてしまう一言

またこのとき、ささいな違いですが、次のようには言わないことです。

×「ちょっと話したいことがあるんだけど」とは言わない

「ちょっと話したいことがあるんだけど」と言われると、多くの人は何か、文句を言われるんじゃないか、と身構えてしまいます。

例えば、夫婦の間で、

「ちょっと話したいことがあるんだけど」➡「話ってなんだろう? お金を使い過ぎてる、って言われるのかな」

「ちょっと話したいことがあるんだけど」➡「話ってなんだろう? もしかすると浮気を疑われてるのかな?」

こんなふうにあれこれ想像して、どんなふうにわが身を守ろうかと、身構えてしまいます。

一方、「ちょっと聞いてほしいことがあるんだけど」と言われると、言われたほうは、「そうか、話を聞けばいいんだな(こちらを攻撃するつもりはなさそうだ)」「そうか、わかってほしいんだな(わかってあげよう)」という気持ちを素直に持ちやすくなります。

ほんの少しの言葉の違いが、2人の関係の大きな違いにつながっていきます。

大原則2:「いつだったらいい?」と「いつどこで?」を予約する

これは、きわめて現実的な工夫です。

「いつだったらいい?」

こう言ってもらえると、話を聞く側は、自分の気持ちが「話を聞くのに適した状態」になる時間と場所を決めて、伝えることができます。

後述しますが、プロのカウンセラーが行うカウンセリングでは、この「時間と場所の枠」が決定的に大きな意味合いを持ちます。

クライエントは「ここでしか会わないカウンセラー」「この時間にしか会わないカウンセラー」と、その枠の中で話を聞いてもらうからこそ、「そこでしかしない話」を安心してすることができるのです。

「大切な話を聞いてもらう」ためには、「時間と場所の枠」が必要です。

「いつならいい?」
「今日の19時ならいいよ」

こう約束することで、「時間と場所の枠」が設定されます。日常の中に「ちょっとだけ特別な時間」が設定されるわけです。

写真=iStock.com/itakayuki
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