ダイヤ改正の騒動は東京メトロでも

東京メトロ有楽町線のダイヤ改正でも反発が起きたことがある。副都心線が開業した2008年6月、有楽町線に準急が新設された。和光市―池袋駅間でのみ速達運転を行い、途中の7駅中、小竹向原駅以外の6駅を通過するものだ。

副都心線の開業による本数増にあわせて設けられ、1時間あたり最大3~4本が準急に置き換えられた。しかし、通過となった駅の乗客の苦情が多く、2008年11月に運行本数が大幅に減らされた。「副都心線開通に伴って華々しく登場した準急だが、半年を待たずに方針転換を余儀なくされた」(朝日新聞)等の記事が踊った。

東京メトロ有楽町線の停車駅、2008年6月の副都心線開業時。(東京メトロホームページ、2008年3月27日のプレスリリースより)

その後も見直しが行われ、有楽町線の準急は2010年3月のダイヤ改正で廃止された。

東海道新幹線の「名古屋飛ばし」問題

古くは東海道新幹線の「名古屋飛ばし」問題もある。現在、同新幹線で主流を占める「のぞみ」は1992年3月に初めて登場した。当初は1日わずか2往復で、下りの一番列車(のぞみ301号)で新横浜駅に停車して名古屋駅と京都駅を通過するダイヤが組まれた。

「のぞみ301号」は、東京都区内・横浜市周辺のビジネス・出張利用客が早朝に出発して、大阪市内近辺のオフィスへの出社時刻に間に合うように設定された。

しかし、当時は夜間の保線工事の後の地盤を固めるために、早朝の数本の列車については減速運転をしなければならない事情があった。そのため、「のぞみ301号」を名古屋・京都の各駅に停車させると、当時の「のぞみ」の売り文句であった「東京・新大阪間2時間半運転」が不可能となり、名古屋・京都両駅を通過させることで対応しようとしたのである。

名古屋はJR東海の本拠地であることもあり、「名古屋飛ばし」として話題になり地元から猛反発が起きた。

その後、路盤安定の技術の進歩によって保線工事の翌日の速度制限が不要となり、「のぞみ301号」は姿を消し、現在は名古屋駅と京都駅を通過する新幹線列車は存在していない。

初代「のぞみ」用車両の300系(画像=Sui-setz/PD-self/Wikimedia Commons

京葉線のダイヤ改正が異例と言えるワケ

特急「あずさ」のほか、有楽町線の準急、東海道新幹線の「名古屋飛ばし」問題を見てきたが、ダイヤ改正で通常争点になるのは、「電車の速達化」であり、「停車駅の削減」だった。反発が起きるのは、速達化によって競合他社より優位な地位を得ようとする鉄道会社の方針によって一部利用者が犠牲になるからだ。

特急あずさは中央自動車道の高速バスと競合し、東京メトロはJR等と、東海道新幹線は航空機と競合関係にある。速達化が図られたが、代替手段を持たない途中駅利用者はそれにより犠牲を被りやすい。

JR中央線を走る特急「あずさ」(画像=007 Tanuki/CC-BY-SA-2.1-JP/Wikimedia Commons