SNS上でいじめられ、命を絶つ子どもたち

公聴会の傍聴席には他にも子どもを亡くした親が大勢いた。クリスティーン・マコーマスさんは2012年にオンライン上のいじめが原因で娘のグレースさんを亡くしたという。

マコーマスさんは公聴会が行われた日のPBSニュースアワーの番組に出演し、娘が自殺した原因について説明した。

「娘はまだ14歳でしたが、最初は薬物が関係した性暴力があり、その後、いじめに遭いました。『おまえのことは大嫌いだ』『これを見て、泣きくずれて寝てしまえ』『目が覚めた時に自殺すればいいのに』といった本当にひどいものでした。また、『死んだ方がいい。おまえは嫌な奴だ』『家族が焼かれるのを見ながら、指を切り落とされればいい』などというのもありました。これは異常です。娘は脅され、恐怖を感じていましたが、それを止めるすべはありませんでした。投稿を削除することもできなかったのです」

マコーマスさんは現在、SNSが原因で子どもを亡くした遺族20人が結束して立ち上げた組織、「ペアレンツSOS(PSOS=親たちのための安全なオンライン空間)」で活動し、SNS被害の啓発、企業に対する責任追及、子どもオンライン安全法の制定を求める活動などを行っている。

PSOSのホームページには、グレースさんを含めた被害者20人のストーリーが掲載されている。

不安症やうつ病を悪化させるコンテンツを表示

アナリー・ショットさん(コロラド州メリノ)はSNSアカウントを開設してから徐々にうつ状態が悪化し、18歳で自殺した。彼女のプラットフォームのアルゴリズムは自殺をすすめたり、自尊心を傷つけたり、不安症やうつ病を悪化させるようなコンテンツを次々に提示したという。

また、彼女は自身のメンタルヘルスやSNS依存の問題について書いていた日記には、TikTokの「フォー・ユー・ページ(おすすめページ)」で、誰かが自殺する様子を生配信した動画を見た後、精神的に苦しくなったという書き込みがあったという。

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カーソン・ブライドさん(オレゴン州レイク・オスウィーゴ)は16歳の時、スナップチャットで匿名アプリを使用していた高校の同級生からいじめを受けて自殺した。子どもたちにスキーを教えたり、演劇に出演していたりして周囲の人を明るくする笑顔を持っていたという。

十代で自ら命を絶った被害者たちのストーリーには親たちの悲しみと無念さの詰まったメッセージが添えられているが、彼らが口をそろえて訴えているのは、「もしSNS企業に安全対策を義務付ける法律が制定されていたら、我が子は死なずに済んだのではないか」ということだ。

この法制定については後述するが、SNS上のいじめや虐待に加えて、最近増えているのは性的な画像をネタにして脅迫する「セクストーション」である。