当たり前の対策をしていない家が多い
昨秋に闇バイト強盗が数多く報道されたことから、闇バイト強盗の防犯対策が注目されましたが、それだけでなく、発生件数の多い侵入盗を踏まえた総合的な対策を取る必要があります。
住宅で起きた犯罪の年間認知件数(2023年)を見ると、闇バイトなどの強盗213件に対し、「空き巣」や「忍び込み」などの従来の侵入盗は1万7340件に上ります。(警察庁:令和5年の犯罪より)
中でも一戸建て住宅の侵入盗の侵入手段として、最も多いのは「無締まり(鍵のかけ忘れ)」(6250件)で次が「窓ガラスの打ち破り」(ガラス焼切り等も含め計4833件)です。(警察庁:令和5年の犯罪より)
つまり、鍵をかけ忘れた家は狙われやすい、と考えたほうがいい。戸建てだけでなく、賃貸も含めた低層・中高層集合住宅も被害は同じ傾向です。鍵のかけ忘れは、正面ドアや勝手口だけでなく、窓の鍵も含まれています。
お金をかけず今すぐ簡単にできることは、在宅中であってもゴミ出しでちょっと外に出る時も、ドア、勝手口、窓の鍵は必ず締めることです。常に鍵をかけるという習慣を付けてください。
狙われた可能性がある「割れやすい窓」
昨年の闇バイト強盗事件では、窓ガラスをハンマーやバールで打ち破って侵入する手口が多く見られました。ということは、犯行グループの指示役あるいは犯人が事前に下見をして、割りやすい窓の家に狙いを定めていると推測できます。
私が報道映像や地図サイトを基に、闇バイト強盗事件の被害に遭った戸建て住宅(未遂・店舗を除外)を調べた結果、勝手口や出窓など大きなガラス面で防犯性能のないガラスが割られるケースが目立ちました。このような窓は、素人でも簡単に壊すことができるためです。
また、金網(ワイヤー)が入った「網入りガラス」は防火性能が高く、火災発生時にガラスの飛散を防止する効果はあるのですが、実は割れやすい。
窓の防犯対策のポイントは、窃盗犯に窓を壊すのに時間がかかりそうだと思わせることです。5分かかると、犯行を断念するといわれています。