「出口がない」という感覚が、さらに焦りを呼び、不安感を募らせていく。こうした負のスパイラルが始まったとき、「考える」は、負の感情の完全な支配下に入り、深い「悩む」へと変質を遂げていくことになる【原因B】。

「悩む」の発生パターンはこれだけにとどまらない。問題解決とは、単に策を見出せばいいのでなく、実行に移して初めて実現されるものであり、問題解決策がある程度見えている場合でも、出口が見えず、負の感情が発生することは、しばしば起こりうるからである。

1つ目は、選択に際して生じる「悩む」である。複数の選択肢から1つを選ぶことを求められながら、それができず、そうこうしているうちに思考の迷路から抜け出せなくなるパターンである。決めなければいけない。でも決められない。いたずらに時間だけが経過し、迷いや不安などの負の感情が増幅していくことになる【原因C】。

2つ目は、解決策自体は定まったのに、いざ実行というところで生じる「悩む」である。十分に考え、ベストな選択であることはよくわかっている。でも、もし実行して失敗したらどうなってしまうのか……。その不安感にとらわれた結果、再び悩みの迷宮に舞い戻ってしまうのである【原因D】。

「悩みやすさ」には個人差がある。上司から怒鳴られることは誰にとっても楽しいことではないが、それでも全然気にしない人もいれば、心を病むほど悩んでしまう人もいる。

この差を生むのは、一言でいえば「思考のあり方の差異」である。起きた現実が同じでも、それをどう理解し、評価するか。そのあり方如何で、悩みやすさは大きく変わってくる。