先進的な政策を導入できる格好の場所
私は、刑務所のコスト削減のために、軽犯罪者を対象に、離島や半島でGPSを装着させた上で、特定の時間帯以外は普通の日常生活をさせる選択肢もあると思うのだが、そんなことも可能だ。
ともかく、元に戻すことに拘泥したり、建設業が潤ったりすることばかりせずに、とくに半島という地形に着目することで、規制緩和などによってコストをかけずに経済振興を図る手立てはいろいろ考えられる。
上記のベーシックインカムなど全国で検討すべき政策や、半島という特性の地域のメリットを生かす実験場としてもよいと思うのである。
莫大な労働者と資材を投入させるべきなのか
逆に、万博の延期といったような思いつきは論外だ。万博なんぞ意味ないといった議論は、誘致の際にすでに行われ、日本全体にとっても関西にとっても絶大な効果があるという結論を出して進めているものであるから、時局便乗でこの議論を再燃させるのは、維新への政治的攻撃ないし東京人などのエゴだ。高市経済安全保障相は地元・奈良の維新知事の強引なやり方に腹を立てているのかもしれないが、万博延期論は賛成しかねる。
狭くて宿泊整備なども乏しい能登半島に、短期間に莫大な労働者と資材を投入して、数万人の生活を元に戻すという形で大急ぎでやることに合理性はない。
人命救助のために例外的なコストをかけるのには反対しないが、人生、不幸なことはいくらでも起き得るし、災害でなくとも立ち退きを迫られることだってある。そのたびに、元の生活を維持・回復するために糸目をつけずコストをかけてはいられない、ということは理解していただけるのではないか。
東日本大震災の被災地でも、被災者が戻ってくるだけでなく、新しい産業が興り新住民が入ってくることで新しい明るい展望が進みつつあるのだ。